ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

富山探訪記【高岡編(3)】

高岡編は今回で最後。
2日目もどんよりとした天気だったが、幸い雨は降らず、朝から高岡古城公園を散策。

A先生の『まんが道』にも登場する、少年時代の藤子先生がいつも過ごしていたというこの場所。公園内にある卯辰山は、『ドラえもん』の学校の裏山のモデルになったとも言われ、90年近い年月を経てもなお、この自然の姿を留めている。ここから数々の藤子作品の源泉が生まれたのだと思うと感慨深い。

公園の動物園内にある絵筆塔。ここには数々の漫画家が描かれた河童の絵のレリーフが埋め込まれており、藤子両先生はもちろんのこと、手塚治虫先生やさいとうたかを先生らのレリーフもある。今となっては貴重なイラストばかりで、高岡に来るたびに毎回観に行きたいスポットだ。

公園を出て市内を歩くと、ドラえもんはじめ藤子F作品のキャラクターたちのモニュメントに出くわす。2021年に、藤子・F・不二雄ふるさとギャラリーの開館5周年を記念して設置されたもので、今回初めて生で見ることができた。川崎の藤子・F・不二雄ミュージアム周辺にも同じようなものが設置されているが、高岡も聖地としてどんどん賑わいを見せているようで嬉しい。

万葉線の「志貴野中学校前」電停には、ふるさとギャラリーの看板がデカデカと。さらに、電停からふるさとギャラリーへの道筋には、ドラえもんと藤子F先生のシルエットが描かれた案内板もあり、ギャラリーへ向かう人の心を躍らせてくれる。

そして、ついに藤子・F・不二雄ふるさとギャラリーへ。6年ぶりの来訪。
生誕地らしく、藤子F先生の少年時代に焦点を当てた展示で、最大の見どころは、藤子先生が作った肉筆同人誌「少太陽」が、タブレットで全ページ読めるところだろう。今でこそ、同人誌をパソコンで誰でも作れる時代になったが、当時は当然パソコンはないから全て手描き。漫画はもちろん、特集記事や紙面構成なども全て自分たちで考えて、それを全ページ書き上げたものだから、その熱意と行動力には頭が下がる。逆に言えば、少年だったからこそ、そこまでバイタリティーを持って作り上げることができたのだろう。なんだか羨ましくも思ったし、と同時にそんな当時の彼らに、僕ら今の大人たちは負けちゃいられないとも思った。

今回行われていた企画は「SF(すこし ふしぎ)のエッセンス」と題した原画展で、第1期は、居候キャラクターにスポットを当てた展示。『ドラえもん』『オバケのQ太郎』はもちろんのこと、『宙ポコ』『ドビンソン漂流記』『4じげんぼうPポコ』まで登場。そのあたりの原画は、川崎でも見たことがなかったので観に来た甲斐があった。入場時にはスタンプカードがもらえ、会期ごとに違うスタンプを押してもらえるそうだ。これなら第2期・第3期も行ってみようかなとも、ふと考えてしまった。またシアターでは、川崎の藤子・F・不二雄ミュージアムのFシアターで過去に上映されていた作品の上映も。この日上映されていたのは「すこしふしぎ超特急」。すでに川崎で鑑賞済みだったが、過去作が観られる機会は今後そうないので、これもいい機会だった。

ふるさとギャラリーを出たのち、寄ったのが、

高岡市の商業施設「御旅屋セリオ」の3階に展示されている「空飛ぶ箱船の緞帳」だ。藤子F先生が原画を描かれた緞帳で、高岡地域地場産業センターの小ホールで使われていたものだという。土日祝の子ども広場開放時に、この緞帳も見ることができる。存在自体は以前から知っていたが、なかなか見る機会に恵まれず、ようやく実物を目にできた。F先生の心暖かさがこもった絵柄で、見ているこっちも気分が和ぐ。この緞帳の原画も、高岡信用金庫の本店で見ることができるそうだが、そちらは土日祝休みで見られないのが残念。そっちもいつか見られる日を心待ちにしたい。

ということで、久々の高岡だったが、新しいスポットも続々と登場していて、ますます藤子F先生の故郷として賑わっていることを実感できて楽しかった。今回寄れなかった場所もいくつかあったけど、また近いうちに訪れたいと思うし、生誕90周年記念企画と共に、高岡の今後の展開もますます楽しみになった。

高岡編は終わりますが、富山探訪記はまだまだ続きます。