ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

水島努と渡辺歩~シンエイOBはなぜ仕事を多くこなせるのか~

『イカ娘』や『ガールズ&パンツァー』などのヒット作を連発し、そして今期、アニメ業界を題材にしたオリジナルアニメ『SHIROBAKO』を送り出す水島努監督
宇宙兄弟』や『団地ともお』といった万人向けのテレビアニメを手がける一方、『謎の彼女X』や『彼女がフラグをおられたら』といった深夜アニメにも精力的な渡辺歩監督

この二人の接点としてすぐに思い浮かぶのは、共にシンエイ動画のOBであるということだ。水島監督は主に『クレヨンしんちゃん』の演出、渡辺監督は『ドラえもん』の作画・演出を長年手がけ、双方のファンの間では広く知られた存在だった。そしてこの二人はシンエイを抜けたあとは、仕事の多さが特に目立つ。水島監督は年に2~3本はコンスタントにテレビアニメを手がけ、渡辺監督は『宇宙兄弟』『団地ともお』と通年作品を手がけながら、深夜アニメや劇場版を掛け持つという仕事ぶりだ。(渡辺監督については2014年10月現在は『団地ともお』一本と落ち着いてきた様子だが。)
 
すべてのアニメ監督の仕事を把握しているわけではないが、おそらくこの二人は現在の日本のアニメ界においてトップクラスに忙しい監督かもしれない。
 
何故この二人はこれほど多くの作品を手がけられるのか。いろいろと要因はあるだろうが、その一つにはやはりシンエイ動画出身ということにある気がしてならない。では、なぜシンエイ動画なのかということについては、ここからは私の推論であるが紐解いていきたい。

廃止直前のトワイライトエクスプレスに乗ってきた

1989年に登場して以来、当時鉄道好き小学生だった自分の心を掴んで離さなかったのが、寝台特急の「トワイライトエクスプレス」だった。寝台特急そのものへの憧れの上に、まるでホテルのスイートルームかのような客室、食堂車の豪華なフランス料理、格式高い雰囲気の車内。鉄道図鑑でまざまざと見せつけられた私はすっかり虜になってしまい、いつかは絶対に乗りたいという夢を抱いた。あれから月日が流れ、当時抱いていた鉄道熱も冷めてしまった感があるが、それでもトワイライトエクスプレスはずっと乗りたい特急のNo.1であり続けた。

それだけにトワイライトが来年春に廃止されると聞いたときはショックだった。もっとも、発表の少し前から北陸新幹線北海道新幹線の開業の影響で廃止されるのではという噂が上がっていて、そろそろ乗りに行きたいと考えていた。その矢先の廃止発表には「これで予約がますます取りにくくなる」と二重のショックを覚えたのだった。

こうなったからには何が何でも乗らなければ。そう思い今回の旅を決行するに至った。
続きを読む

『たまこラブストーリー』に見た「映画」へのこだわり

たまこラブストーリー』の公式サイトのインタビューで山田尚子監督はこう語っている。
今回は「映画」ということをだいぶ意識しています。TVシリーズでは難しく考えないで素直に楽しいものを描いているので、画面もそういった意識で特に「多幸感」を重要視していたんです。 ですが、今回は楽しいプラス甘切ない、キュンとくる。そういう感情を色味やレイアウトに入れ、無意識下に働きかける感じにしています。感情の色を沢山つけていきたかったんです。 今回は素直に「映画」を作っているなと思いますね。素敵な気持ちで観ていただけるフィルムになっていると思います。
雑多な環境に置かれやすく、時間の制約もあるテレビとは違って、映画は映画館という閉じられた空間で、画面により集中して見られるという利点がある。時間の制約もテレビほど厳しくはない。ゆえに、台詞で登場人物の心情を説明したりとか、過剰演出でテレビの前の視聴者の気を惹こうとか、いわばテレビ的な演出をする必要がない。台詞に頼らず、あらゆる要素を込めた画面構成や演出で、登場人物の心情などを観客に伝えることができる。
 
しかし昨今、アニメ・実写問わず映画館で上映されている作品を観てみると、テレビの延長線上のつもりで作っているためなのか、テレビ的演出に陥っている作品が増えている感がある。いわば「テレビドラマ」や「テレビアニメ」が映画館で上映されている感が否めない。最近流行りのOVAのイベント上映というのは、まさにそれを体現しているように見える。それ自体を否定するつもりはないが、お金を払って劇場に足を運んでいる観客に対して、テレビと同じように作ってしまっては、それに見合ったものになるだろうかという疑問が残る。
 
今作もまた、流行の劇場版商法の流れで製作されている感が否定できないのだが、前述の山田監督のインタビューを読んで、この人は「映画」に対して相当のこだわりを持っているという印象を受けた。少なくとも一本の「映画」として、この『たまこラブストーリー』を観客に見せたいという思いを感じ取った。そしてその言葉通り、『たまこラブストーリー』は予想以上に「映画」として完成された作品だった。
 
(以下ネタバレあります。ご注意ください。)
 

VHSをレンタルしながら未DVD化作品の行く末を案じる

最近、実家から持ち出してきたVHSを、PCに取り込んでデジタル化をしている。普通に1本ずつVHSを再生していくわけだから、時間がかかってめんどい。この1ヶ月間で、ほぼ毎日地道に進めてやっと半分の15本を消化。まだまだ時間がかかりそうだ。
それでも貴重な映像がどんどん出てくるから観ているだけでも楽しい。(といっても、せいぜい5~10年前のものがほとんどだが。)

そんなことも影響したのか、最近あることを思い出して、先日TSUTAYAの梅田堂山店を訪れた。
 
 

 

アニメ『ドラえもん』はとっくの前から自主規制されている

先日、放送された『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』で、いわゆる「謎の光」が発動したことがちょっとした話題になっている。
 

ついに『ドラえもん』しずかちゃんの裸に規制の手が入った!! 過剰な自主規制がまかり通るのは何故か?|おたぽる

 
まあ、僕自身も放送時にはネタにしたけど、この騒ぎには「何をいまさら・・・?」とも思っている。というのも、アニメの『ドラえもん』、少なくともテレビ版においては、もうとっくの前から自主規制が行われているからだ。

8年前の細田守監督と渡辺歩監督の対談記事

初めて自炊機器(裁断機・スキャナ)のレンタルというのをやって、溜まっていた雑誌を電子化した。完璧とはいかなかったけど、必要な記事はおおむね上手く電子化できた。
ただ、『CUT』や『アニメージュ』などはA4サイズを超えてしまうため、ドキュメントスキャナではスキャンできず、結局それを残したまま返却。残りは1枚ずつスキャンしていくしかないので結構大変だ・・・。
 
今回電子化した雑誌記事はいずれも興味深いものばかりだが、その中でも紹介したいのは2007年1月に発売された雑誌「Invitation」2月号のこの記事。

f:id:shinchu:20140204230912j:plain

続きを読む