ぬるオタな日々 by @chusingura

実家暮らし・・・を晴れて卒業。三十路独身のぬるオタの日々戯言

エロこそオタク文化の源

児童ポルノ法の改正案が現在審議されているようだが、その内容があまりにアレで私も呆れている。性的被害を受けた児童の保護という趣旨は理解するにしても、日本ユニセフ協会と、その要望を受けた与党が行なおうとしていることは、あまりに法の目的から逸脱しているように思えてならない。今回の改正案では対象外ではあるものの、将来的には漫画・アニメ・ゲームを対象に加えたいようだ。こればかりは、私は絶対に反対だ。国民的人気漫画である『ドラえもん』、劇場映画が高く評価されている『クレヨンしんちゃん』が「児童ポルノ」扱いにされてしまってはたまったものではない。
日本ユニセフ協会は「オタク文化を否定するものではない」と反論しているが、彼らはどこまでオタク文化を知った上で言っているのだろうか。そして、それは自ら漫画好きと公言し、「漫画外交」を積極的に進めている麻生首相にも言える話だ。オタク文化を衰退しかねないこの法案について、どうして何も言わないのだろうか?
そもそも、オタク文化(コンテンツ産業)は、エロ・グロなどといったアングラなところから人材が育ち、それにつれて発展してきたという面も否定できない。あきたこまちの「萌え米」イラストで注目を集めた西又葵も、『涼宮ハルヒ』『灼眼のシャナ』のいとうのいぢも、エロゲのキャラデザをやっていた過去がある。エロ系同人誌を経てプロデビューしている漫画家がいるのも事実だ。これは何も漫画・アニメに限った話ではない。アカデミー賞を受賞した『おくりびと』の滝田洋二郎監督は、ピンク映画出身というのは映画ファンにはよく知られた話だ。滝田監督のみならず、井筒和幸(『パッチギ!』)や黒沢清(『「トウキョウソナタ」』)、若松孝二(『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』)など、日本映画界を代表する名だたる監督もみなピンク映画を撮っている。ゆえに、「ピンク映画こそが人材育成の場になっている」と語る映画ファンもいるぐらいだ。*1
そんな人たちと並べて語るのはおこがましいかもしれないが、私もまたそういう経歴を踏んだ一人である。前の職場は、セフレ出会い系サイトの運営会社だった。半ば騙されて入ったようなもので、正直、会社も仕事もブラックな面が多く、あまり誇れるようなものではなかった。しかし、そこでDreamweaverPhotoshopをはじめて使い、ソフトを使って画像を加工したりサイトを作ったりという経験を得た。今の会社にいるのもその経験を買われたから。経験をさせてもらえたというだけでも、前の会社には感謝している。
そうした現実がある中で、もし規制が入れば、そこで働くクリエイターの職が失われるだけでなく、人材育成の場も一気に失われるだろう。エロに頼らずともできるだろうという意見もあるだろうが、なぜエロをやるかといえば需要が大きいからだ。エロ抜きで物を売ることは容易ではないし、機会もだいぶ限られてくる。エロを仕事にしていることを誇りに思う人は少ないだろうが、それでもスキルを身につけるために、今よりもいい仕事にありつけるために、(本意であれ不本意であれ)そこに身を置く者も多いのだ。規制されれば、彼らの機会を奪うことになり、結果的に優秀な人材が生まれにくくなる。国は、コンテンツ産業の人材育成支援もやりたいというが、結局、国の都合の良い人材しか育たないような気がしてならない。
本当にオタク文化を否定するつもりがないというのなら、彼らが嫌うエロ表現が、実は日本のオタク文化・コンテンツ産業を結果的に育てているという現実を真正面で受け止めるべきだろう。そうしないかぎり、「オタク文化を守る・育てる」などと軽々しく言ってほしくない。

*1:[http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-e30e.html:title=]