ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

唯一の定期夜行寝台特急「サンライズ出雲」に乗った

かつては日本中を走っていた夜行寝台列車も次々と姿を消し、とうとう「ブルートレイン」も消滅してしまった中、唯一定期運行している夜行寝台特急が「サンライズ瀬戸・出雲」だ。東京から岡山までは連結して運行し、岡山で切り離して「サンライズ瀬戸」は瀬戸大橋を渡り高松まで、「サンライズ出雲」は鳥取県を経由して出雲市まで向かう寝台特急だ。

実はサンライズには一度乗ったことがある。そのとき乗ったのは上りの東京行きで、上りのみ大阪駅に停車するため、大阪からノビノビ座席に乗って東京に行っていた。しかし乗車時間は短く、それに個室寝台が取れなかったので物足りなさを感じていた。そこで今回、めでたく社畜から解放された記念として再びサンライズに乗ることにした。それも今回は、比較的取りやすい平日を狙って個室寝台を確保。出発地の東京から終点の出雲市まで乗りつくす。

サンライズ瀬戸・出雲に乗車

f:id:shinchu:20220214204425j:plain
f:id:shinchu:20220214204430j:plain
f:id:shinchu:20220214204436j:plain
f:id:shinchu:20220214204421j:plain

2月8日(火)21時20分頃。東京駅9番ホーム。
家路につくサラリーマンの姿がまだ目立つ中、寝台特急サンライズ」が入線。前7両の「サンライズ瀬戸」、後ろ7両の「サンライズ出雲」の合計14両という、近年でも珍しい長編成の在来線特急だ。平日にもかかわらず、乗客が記念写真を収める姿が目立ち、寝台特急人気の根強さをうかがわせる。自分も早々と写真を収めたのち、列車に乗り込む。

f:id:shinchu:20220214204744j:plain
f:id:shinchu:20220214204749j:plain

列車に乗り、さっそく指定の個室へ。今回取ったのは、サンライズの中で一番多く用意されている個室のB寝台「シングル」。多少狭くは感じるものの、ベッドの脇にはスペースがあり、荷物はここに置ける。小物が置けるテーブルも設置されており、また電源コンセントもあるので、スマホの充電も困らない。ヘッドは思いのほか柔らかく、おまけに上段だったので、プラットホームを見下ろせたり、夜空を見上げることができたりと、気分は快適。疲れ切って家路につくサラリーマンを見て、すっかり優越感に浸っていた。

f:id:shinchu:20220214204828j:plain
f:id:shinchu:20220214204823j:plain

ベッドの横には、室内灯のスイッチやデジタル時計もあり。以前はNHKのFMラジオも聴けたようだが、現在は聴けないようだ。個室のカギは、4桁の暗証番号を設定して掛ける仕組みになっている。

21時50分、東京駅出発

www.youtube.comそして21時50分。「サンライズ瀬戸・出雲」が東京駅を出発。トワイライトエクスプレス以来、7年半ぶりの寝台特急の旅が始まる。寝台車のベッドで足を伸ばして、流れゆく夜景を眺めるときの心地よさといったら、もうたまらない。車窓を覗くと、家路につく人たちを乗せた山手線や京浜東北線などが併走している。そういえば東京発の夜行列車に乗ること自体も初めてだった。かつては東京駅からも「はやぶさ」や「富士」「さくら」などといった多くのブルートレインがここを通り、それらと併走していたのだと思うと、なんだか感慨深くなった。「日常」を支える通勤電車と、「非日常」の世界へいざなう寝台特急。その二つが溶け合う光景に不思議な気分を覚えた。そんな不思議な体験ができるのは、もうサンライズでしか味わえない。

西に向かうにつれ、街の灯りもだんだん暗くなり、街も寝静まろうとしていた。持ち込んだレモンサワーとおつまみを嗜んでいた自分も、そろそろ床につくことにした。が、もともと寝つきが悪い性質なので、環境が変わってしまうと思うように寝付けず。今回も途中で起きてしまうことがしばしば。結局、寝られたのか寝られなかったのかわからぬまま、一夜を明かした。

f:id:shinchu:20220214225434j:plain

翌朝6時30分、岡山駅で切り離し

f:id:shinchu:20220214230410j:plain
f:id:shinchu:20220214230415j:plain

www.youtube.com翌朝6時過ぎ。車内放送で起こされると、ガウンから着替えて降りる準備をする。目的はもちろん瀬戸号と出雲号の切り離しを見るためだ。6時30分に岡山駅に到着。6号車と7号車の間に行き、切り離し作業を見守る。それまで繋がっていた通路が途切れ、両車両の扉も閉ざされる。そして扉が閉じられてすぐさま、瀬戸号は岡山駅を離れ、高松へと向かっていった。最後に作業員が、出雲号の連結器にカバーをかけて作業終了。わずか数分というあっという間の作業だった。見終わったあと、駅の自販機で缶コーヒーを買い、急いで出雲号に再び乗り込んだ。

雪景色と宍道湖

f:id:shinchu:20220214231909j:plainf:id:shinchu:20220214231956j:plain岡山からは伯備線を経由して松江・出雲市方面に向かう。買っていた朝食のパンを食べたり、読書をしたりして過ごしているうちに、途中でやたら寒くなる。気づくと車窓にには一面雪景色が広がる。どうりで寒いわけだ。寝台列車から雪景色を眺めること自体、初めてかもしれない。

やがて列車は松江市内に入り、宍道湖のそばを走行。海なし県出身の人間としては、どうしてもこの光景には目を惹かれてしまうもので。なかなか見られない光景をたっぷり堪能できるのが、寝台特急の旅の最大の魅力だ。

出発から12時間。出雲市駅到着。

www.youtube.com

f:id:shinchu:20220214234639j:plain
f:id:shinchu:20220214234644j:plain

そして東京駅を出発して約12時間。2月9日(水)9時58分。
サンライズ出雲は、ほぼ定刻通り終着の出雲市駅に到着。長かったような、でもあっという間だったような、寝台特急の旅は幕を閉じた。これで食堂車とか車内販売があったら言うことなかったのだけど、今となっては寝台特急がこうして運転が続いているだけでもありがたいこと。「ブルートレイン」は残念ながら無くなってしまったが、サンライズだけはずっと長く走り続けてほしい。

【おまけ】出雲大社とか、ばたでんとか、旧大社駅とか。

f:id:shinchu:20220214235646j:plain
f:id:shinchu:20220214235651j:plain
f:id:shinchu:20220214235640j:plain
f:id:shinchu:20220214235656j:plain

せっかく出雲まで来たので出雲大社へもお参り。良縁に恵まれるよう祈ってきましたよ。

f:id:shinchu:20220214235926j:plain
f:id:shinchu:20220214235935j:plain
f:id:shinchu:20220214235930j:plain
f:id:shinchu:20220214235921j:plain

ばたでん(一畑電車)の出雲大社前駅には「デハニ50形」が展示されていた。中井貴一主演の『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』にも登場。

f:id:shinchu:20220215000613j:plain
f:id:shinchu:20220215000724j:plain
f:id:shinchu:20220215000618j:plain
f:id:shinchu:20220215000625j:plain
f:id:shinchu:20220215000608j:plain
f:id:shinchu:20220215000630j:plain

旧大社駅は残念ながら保存修理工事中・・・orz
幸いプラットホームには入れました。D51が展示されてました。