碓氷峠。信越本線の横川-軽井沢間(通称:碓氷線)にある峠は、最大66.7 パーミルという急勾配で、鉄道最大の難所とされ、かつてはアプト式やEF63形電気機関車の連結などで峠を越えるのがお馴染みの光景だった。1997年に北陸新幹線(当時は長野新幹線)の高崎-長野間が開業したことに伴い、碓氷線は廃止された。
鉄道大好きだった幼少期の頃に、碓氷線を通ることは結局叶わなかったが、その廃線跡が現在は「アプトの道」というハイキングコースとして整備されていることを知り、せっかくなので行ってみることにした。
横川駅
在来線を乗り継いで横川駅に到着。ローカル線の終着駅のわりには、やたらとプラットホームが長く、それも線路を挟んでもう1本ある。碓氷線運行当時、この駅で長野や上野方面に向かう特急電車が停車していたことが強く伺える。当時使用された(と思しき)白線やベンチ、さらに「高崎・上野方面」と書かれた行き先案内が未だ残っていた。
碓氷峠鉄道文化むら
まず向かったのは「碓氷峠鉄道文化むら」。碓氷線の廃止と共に役目を終えた横川運転区の施設を利用して、鉄道記念パークとして1999年に開園された。一昨年は『鬼滅の刃 無限列車編』とコラボしたり、現在放送中の『シンカリオンZ』では超進化研究所の横川支部として登場するなど、最近はアニメとのコラボも積極的だ。
パーク内にある鉄道展示館は、横川運転区の機関庫だった建物を使用し、EF63形などの機関車や、当時の設備・整備用具・時刻表などを展示。大宮や京都の鉄道博物館と違って、理路整然としてなく、倉庫のように置いてあるのが、のどかな感じがして面白い。僕の大好きなパタパタ式の発車案内もあった。
奥のほうに行ってみると、D51を始めとする国鉄時代の名車両が屋外展示されている広場に。芝生でお弁当を広げて休むこともできるそうだ。
鉄道資料館も、もとは横川運転区の事務所だった建物を使用。1階には鉄道博物館お馴染みの鉄道模型ジオラマが。さらに、歴代「電車でGO!」のアーケード機も(うち2台はコロナ対策のためか停止中)。あまりに懐かしくてついプレイしてしまったが、1駅でゲームオーバー(笑)
資料館は屋上にも行くことができ、鉄道文化むらを見渡せる。広場に遊具が点在する中、横川運転区の線路跡もそのまま残されており、当時の光景が今にも蘇ってきそうだった。
屋上に向かう途中で「定刻起床装置」を発見。さすがに稼働はしていないだろうが、当時の設備もしれっと残すあたり「碓氷峠鉄道文化むら」はテツの心を掴んでくるなあ~。
お昼はもちろん釜めし
横川に来たのなら、お昼はもちろん釜めし。鉄道のイベントで食べたことはあったが、現地で食べるのは初めて。老舗のおぎのや本店で定食を食す。もちろん美味しかったけど、特急電車で食べられたら最高だったなあ。
そのそばには変わった形の排水溝がある。これは碓氷線に使われていたアプト式のラックレールらしく、これを組み合わせて再利用したものだそう。長らく碓氷峠越えに貢献したラックレールは、まだまだひっそりと地元住民の役に立っていた。
(2)【アプトの道】に続く