ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

宝塚歌劇雪組公演『CITY HUNTER -盗まれたXYZ-』『Fire Fever!』

2021年の7月期アニメで、最も面白かったのは『かげきしょうじょ!!』だった。白泉社『メロディー』にて連載中の斉木久美子の漫画が原作で、紅華歌劇団のスターを目指す「紅華歌劇音楽学校」第100期生の青春群像劇を描く。彼女たちの歌劇に対する思いや葛藤などが切実に描かれ、1クールで終わるのが惜しいほどの傑作だった。続編が制作されることを期待したい。

kageki-anime.com


その「紅華歌劇団」のモデルとなっているのは「宝塚歌劇団」であることは言うまでもないが、『かげきしょうじょ!!』を観ていくうちに、それまでさわり程度だった宝塚歌劇にも興味が沸き、一度生で見てみたくなった。そこへ、東京宝塚劇場で、あの『CITY HUNTER』のミュージカルが公演されるというので、せっかくなので初めて宝塚歌劇を生観劇することにした。

kageki.hankyu.co.jp

しかし、、、さすがは宝塚。予約しようと思ったら、座席はすべて完売。あと残っているのが、お安い1,500円の立ち見席のみ。それでも観られないよりはマシだと思い購入。まあ、貧民の私にはそこがお似合いだろう。

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迎えた当日の10月31日(日)。東京宝塚劇場のロビーはやたら格式高く、観客はほとんど女性。凄く場違いなところへ来てしまったなあと思いつつ、ホールへ入場。

 

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立ち見席は2階席の真後ろの通路にあり、ステージからは最も遠い。ここからではオペラグラスがないと演者の表情をはっきり見ることはできない。しかし、銀橋のところまでステージ全体を見渡せるので、見切れることなく観劇できる。壇上のスターたちがそれぞれどう立ち回っているかがわかるし、またステージ上の舞台装置が回転したり、せり上がったりと、その動くさまや仕組みが手に取るようにわかる。これはこれでなかなか見応えがあった。

CITY HUNTER -盗まれたXYZ-』

そしていよいよ1本目のミュージカル『CITY HUNTER -盗まれたXYZ-』の公演が始まる。冴羽獠を演じるのは、雪組トップスターの彩風咲奈。槇村香役を、雪組トップ娘の朝月希和が演じる。ほか野上冴子や海坊主などお馴染みのメンバーに加えて、アニメ版には登場しなかった、獠のアメリカ時代のパートナー、ミック・エンジェルも主要人物の一人として登場。どちらかといえば原作準拠のキャラクター設定になっている。

また時代設定を、原作連載時の1989年に設定しており、ゆえに舞台の美術や衣装はバブル期のイメージそのままで再現されていて面白い。新宿のクラブのママのファッションはボディコンだし、繁華街の広告やネオンサインもなんだか懐かしい感じ。しかし『CITY HUNTER』にはこの時代の空気がもっとも似合う。

そして、注目の、彩風咲奈が演じる主人公の冴羽獠。その獠の口調が、もうアニメ版で神谷明さんが演じたイメージそのままなのだ。美女の前ではエロむき出しの性格を見せる一方、要所要所で頼もしい姿を見せる二面性のある獠。神谷さんはそれが物凄く上手かったのだが、彩風咲奈もまたそのイメージを引き継いでみせた。それだけでも凄く嬉しかったし、これだけでほとんど『CITY HUNTER』の舞台化は成功したと言っていい。もっとも、お決まりの「もっこり」は、すみれコード*1により「ハッスル」に言い換えられていたが。「ハッスル」って小川直也かよ(笑)

もちろん、お約束の香の100トンハンマーも用意されていて、直接頭を殴りはしないもの、軽快な効果音を使って、定番シーンをコミカルに演出してくれる。

原作やアニメのイメージを引き継ぐ一方、ミュージカル独自の要素も。例えば、新宿の繁華街の占い師が「こんなん出ましたけど~」と当時の流行語を口癖のように発していたり、『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイの名台詞をなぞったセリフが出てきたり、さらには、冴子の後輩として、踊る大捜査線』の青島刑事に似た「織田隆治」なる刑事が出てきたりと、当時のトレンドやパロディを取り入れた演出も。知っている人は笑えるけど、若い世代にはピンと来ないかも。ついでに同じ原作者繋がりでキャッツ・アイ』まで出てくるし。まあ、話の筋に大きな影響を与えるわけでもないので良しとしよう(笑)

そして『CITY HUNTER』といえば、やっぱり欠かせないGet Wild。もちろん劇中歌の一つとして歌われ、ミュージカルならではのアレンジも加えながら、場面を盛り上げてくれる。他にもCity Hunter 〜愛よ消えないで」「Still love her」も要所の場面で印象的に歌われ、またオリジナル曲の「CITY HUNTER」「WONDERLAND」も、『CITY HUNTER』の世界観が反映されていて感動的だった。

『Fire Fever!』

30分の休憩を挟んで後半パートは、ショー・オルケスタ『Fire Fever!』の公演。
ほぼ歌とダンスで構成され、これぞ宝塚の真骨頂とも言えるステージショー。多彩な歌とダンスが、代わる代わるステージ上で展開され、まるで夢の世界に連れてこられたかのよう。娘役は華やかなショーダンスを披露したかと思えば、男役は勇ましくキレッキレのダンスを見せる。ステージ上のキャスト全員が一糸乱れずに踊る姿は、もう壮観の一言。そして、ホール全体に響き渡るスターたちの力強い歌声にも圧倒される。圧巻の一時間だった。

初めての宝塚生観劇は、一言では言い表せないほど大満足のひとときだった。次回観るなら、本場の宝塚大劇場で、それもスターの顔が見られるほど近い席で見てみたくなった。

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おまけ

この前日に、神谷明さんも、日髙のり子さんとともに観に行ってた模様。

*1:ちなみに新宿のクラブのママが「ブス」と罵り合う場面があったが、「ブス」はすみれコードには引っかからないのか。そこらへんの基準がよくわからない。