ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

【結果追記あり】第46回日本アカデミー賞を「理想的」「現実的」に予想する

今年度の日本アカデミー賞優秀賞が先日発表。大手配給4社(東宝東映・松竹・KADOKAWAが主に取りしきっている映画賞に、果たして価値があるのかどうかは疑問だけど、ヒマなんで各部門の最優秀賞の予想をしてみようと思う。

ただ、普通に予想するだけではアレなので、各部門ごとに、個人的に獲るべき・獲ってほしいと思うのを【理想的予想】(以下【理想】)、大手配給4社の票数や業界人の反応などから獲るだろうと思うものを【現実的予想】(以下【現実】)として挙げていく。なお、各部門の受賞作品で、大手4社の配給・製作が入っているものには、その会社名も入れている。

(2023/03/11追記)結果を追記しました。

最優秀作品賞

【理想】ある男
【現実】ハケンアニメ!
【結果】ある男

(予想)

すでに作品賞3冠を獲得している『ケイコ 目を澄ませて』を入れない時点でアレなのだが、さておき、この中で獲ってほしいと思うのは「排外主義」「差別」といった現代社会の闇も取り扱った『ある男』キネ旬ベストテンでも2位に選出され、作品の完成度は高いが、同じ松竹の『月の満ち欠け』と票が割れる可能性が高い。
となると、東宝『シン・ウルトラマン東映ハケンアニメ!』だが、後者は業界人からの支持も高く、各映画賞の受賞実績もあるので一番有利かと。

(結果)

松竹票で割れると思われた『ある男』が、順当に最優秀作品賞を獲得。結局、合計で8冠獲得するなど今回の賞を席巻。しかしこうなると、なぜ『月の満ち欠け』が優秀賞に選ばれたのかが謎。代わりに『ケイコ 目を澄ませて』を入れておけば、また結果は違ったかもしれないのに。

最優秀アニメーション作品賞

【理想】犬王、かがみの孤城、THE FIRST SLAM DUNK
【現実】すずめの戸締まり
【結果】THE FIRST SLAM DUNK

(予想)

こちらは作品賞とは対称的に大激戦。この5本は、まさに2022年を代表するアニメ映画と言えよう。一番獲ってほしいのはかがみの孤城だけど、『犬王』『THE FIRST SLAM DUNKでも十分納得。でも、結局のところは、東宝KADOKAWA両社がバックについている『すずめの戸締まり』でしょうね。いや、『すずめ』も別に悪い映画じゃないんだけど、どうもモヤるんだよなあ・・・。

(結果)

圧倒的に『すずめ』有利だろうと思いきや、『THE FIRST SLAM DUNKが獲るとは。もちろん結果には納得だけど、『ONE PIECE FILM RED』とで東映票が割れると思っていたので。もっともONE PIECE FILM RED』は話題賞と特別賞を受賞、『すずめの戸締まり』は最優秀音楽賞を受賞したので、うまいこと分け合おうという配慮が働いたのかもしれない。『すずめ』が最優秀音楽賞なのは少し納得しがたいが・・・。

最優秀監督賞

【理想】石川慶『ある男』
【現実】吉野耕平『ハケンアニメ!』
【結果】石川慶『ある男』

(予想)

『ある男』で印象的な画を残した石川慶監督を推したいのだけど、松竹が3作品入っていて、こちらも票割れを起こしそう。作品賞同様、『ハケンアニメ!』に票が集中しそう。

(結果)

推していた石川慶監督が順当に受賞して良かった。しかしこの部門も、松竹が3作品も入るのはどうも腑に落ちないねえ・・・。

最優秀脚本賞

【理想】早川千絵『PLAN 75』
【現実】早川千絵『PLAN 75』
【結果】向井康介『ある男』

(予想)

『PLAN 75』も本来なら作品賞に入ってもいいぐらいの作品。昨今も、どこかの大学助教が「高齢者は集団自決すべき」などという問題発言をかましており、それだけ現在進行形の問題として、我々に問いを突きつけている映画だと思う。このことは業界人の間でも危機感を持っている人は多いと思うので、おそらく順当に選ばれるのではなかろうかと。

(結果)

作品人気に引っ張られた結果という印象。もちろん『ある男』の脚本も素晴らしいと思うけど、現代性・切実性においては『PLAN 75』のほうが上回っていると思うが。オリジナル脚本という点でも評価してほしかった。

最優秀主演男優賞

【理想】阿部サダヲ『死刑にいたる病』
【現実】二宮和也ラーゲリより愛を込めて』
【結果】妻夫木聡『ある男』

(予想)

この中で印象深いのは『死刑にいたる病』阿部サダヲなんだけど、結局のところ、東宝票とジャニーズ事務所への配慮がきいて、二宮和也が獲っちゃうんだろうなあ・・・。

(結果)

こちらも『ある男』人気で妻夫木聡が獲得。芸能事務所への配慮が働かなかったのは良かったけど、最優秀を獲るほどの演技だったかといわれると微妙。未見だけど『土を喰らう十二ヵ月』の沢田研二が入っていたら、また結果は違ったかも。

最優秀主演女優賞

【理想】岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
【現実】
岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
【結果】岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』

(予想)

各部門の中でもっともまともな選出かもしれない。
これでのんが獲ったらそれはそれで大事件だけど、作品賞に選ばれなかったことへの業界人からの同情票なども集まって、順当に岸井ゆきのが獲るでしょうね。
そういえば主演女優賞って、案外大手4社以外から選出されることが多い。前回第45回の有村架純の『花束みたいな恋をした』は東京テアトルだし、第43回のシム・ウンギョンの『新聞記者』はスターサンズだ。少し気になる傾向ではある。

(結果)

当然の結果。2年連続で非大手からの選出。そういえば、岸井ゆきのは、NHKの朝ドラまんぷく』で安藤サクラと共演していたけど、その彼女も『百円の恋』というボクシング映画で第39回の最優秀主演女優賞を受賞している。なんという不思議な縁。

最優秀助演男優賞

【理想】横浜流星『流浪の月』
【現実】柄本佑ハケンアニメ!』
【結果】窪田正孝『ある男』

(予想)

印象深いのは、いつものイメージとは打って変わって、DV男を演じた『流浪の月』の横浜流星。でも、『ハケンアニメ!』人気で柄本佑に行きそうな予感。最近の彼は、映画監督業にも乗り出すなど、映画業界への貢献度が高まってきているので、業界人の支持を集めそう。

(結果)

予想に反して、こちらも『ある男』の窪田正孝に。でもあまり悪い気はしないかな。一応、毎日映画コンクールのほうも獲ってるし。

最優秀助演女優賞

【理想】尾野真千子ハケンアニメ!』
【現実】尾野真千子ハケンアニメ!』
【結果】安藤サクラ『ある男』

(予想)

今回は受賞者6名(7作品)という異例の選出。
正直なところ、どれも決め手に欠ける。強いて選ぶなら、やっぱりハケンアニメ!』の尾野真千子かな?助演男優同様、演技というより作品人気で獲りそうな予感。尾野真千子さんだったら『こちらあみ子』のほうが印象深かったんだけど。

(結果)

結局、作品人気で安藤サクラに。以前にサインをもらったことあるくらい大好きな俳優なんだけど、今作についてはまだまだ真価を発揮できていない印象。今年公開の是枝裕和監督の『怪物』での活躍に期待したい。

最優秀外国作品賞

【理想】RRR
【現実】トップガン マーヴェリック
【結果】トップガン マーヴェリック

(予想)

これは『RRR』一択
でも結局は、洋画で興行的に一人勝ちだったトップガン マーヴェリック』でほぼ間違いないでしょうね。それも確かに面白かったんですが。

(結果)

まあ、そうなるわな(笑)
ただでさえ、日本国内においては洋画の興行がますます厳しくなっている中での、興行収入100億突破は、十分受賞に値するでしょうね。今後これクラスの洋画が現れるのどうか気になるところ。


とりあえず、予想は以上になります。
理想通りの結果になれば、少しは見直すかもしれませんが、あまり期待しないで、当日の授賞式の中継を見守りたいと思います。

まあ、私は結果よりも、授賞式の席で、『犬王』の湯浅政明監督と、『かがみの孤城』の原恵一監督と、『すずめの戸締まり』の新海誠監督が揃って同席されるのかどうかだけを楽しみにしたいですがw

(2023/03/11追記)結果まとめ

一番評価していた『ある男』が最優秀作品賞を含め最多8冠を獲得し、比較的まともな結果にはなったかと思う。ただ、特定の作品に集中しすぎている印象はどうしても否めず、もう少し多様な結果になってほしかった。

一方で、受賞された俳優のスピーチはどれもしっかりしていて、映画業界をもっと発展させていきたいという気概に満ちあふれていた。そんな俳優たちの気概に、日本アカデミー賞はまったく追いついていない。かつて樹木希林が授賞式の壇上で述べた日本アカデミー賞が名実共に素晴らしい賞になっていくことを願っております」は、今や日本の映画俳優の総意ではないかと感じてしまった。

まあ、私は結果よりも、授賞式の席で、『犬王』の湯浅政明監督と、『かがみの孤城』の原恵一監督と、『すずめの戸締まり』の新海誠監督が揃って同席されるのかどうかだけを楽しみにしたいですがw

もう一つ楽しみにしていたコレだけど、新海誠監督は海外キャンペーンのため欠席、原監督も欠席されたため実現ならず(T_T)
しかも今年は、作品紹介をろくにやらず、アニメーション作品賞の発表を簡略化する始末。そんなにアニメ映画の大ヒットが悔しかったんですかねえ・・・。