ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

『アンナチュラル』『MIU404』一挙放送を視聴

新年1発目のブログ更新です。遅ればせながらあけましておめでとうございます。

さておき年末年始は、コロナ禍云々関係なく、例年通り家に引きこもっていたのだが、ちょうどその時期、TBSローカルで『アンナチュラル』と『MIU404』の一挙放送があり、以前から度々SNSで話題になっていたのを見て気になっていたので、この機会に観てみることにした。

いやあ、面白かった。『アンナチュラル』は法医学ミステリー、『MIU404』はバディものの刑事ドラマと、ジャンルはそれぞれ違えど、現代の社会問題を背景に描きつつ、それを声高に訴えるのではなく、あくまでエンタメとしてストーリーの細部に落とし込んでいて、それがドラマにリアリティと説得力をもたらしていて、なかなか見応えあった。特に『アンナチュラル』の第1話は、まるでこのコロナ禍を予見していたかのごとく、「MERSコロナウィルス」を取り上げていて、しかも感染死した男性とその家族への誹謗中傷をも描くあたりが、先見の明があって驚かされるばかりだった。

『MIU404』は、バディを組む星野源綾野剛、そしてラスボス的存在の菅田将暉というキャスティングが妙だ。この3人とも、多重人格者のごとく、役柄や状況に応じて変幻自在に演じ分けできる俳優なので、彼らの演技の変化がそのままドラマに緩急を生んでいる。星野源といったら「おげんさん」のような穏やかなイメージが強いけど、劇中で時折悪魔のような形相を見せるシーンがあって、そのギャップに驚かされる場面が多かった。綾野剛は、劇中ではチャラい系な印象だったが、『新宿スワン』や『日本で一番悪い奴ら』などでオンドリャーなキャラはいつも観ているので、その変化も見ていて楽しい。菅田将暉は、軽快なノリの中に、密かに凶悪性を含ませた演技がもう流石としか言いようがない。この3人はこれからも日本の映画・ドラマ界を代表する俳優として引っ張ってくれることだろう。

『MIU404』で面白かったのは、菅田将暉演じる久住が、都内で同時多発テロが発生したというフェイク動画をSNS上に流し、志摩(星野源)と伊吹(綾野剛)が翻弄されるという場面。作品タイトルと同じ「#MIU404」というハッシュタグで、爆弾テロ犯の情報提供を募りトレンド入りさせるという、現実とシンクロした展開には鳥肌が立った。リアルタイムで実況する楽しみが定着した今ならではの演出と言える。これはやっぱりリアルタイムで観たかった。

しかし、現実に目を向ければ、昨今は米大統領選挙の結果を受け入れられないトランプ支持者らが次々とフェイクニュース陰謀論を垂れ流し、人々は彼らの主張に翻弄され、結果的に連邦議会は襲撃され、なおその危機は未だ進行中だ。しかも彼らは、それが「真実」だと信じ切っているのだから、なおさら立ちが悪い。事態は現実のほうがより深刻なのかもしれない。それを思うと、果たして「エンタメ」としてこれを素直に楽しんでしまっていいものか。そんな複雑な心境を抱かせるほどに見応えのあるドラマだった。

そういえば、この2つの作品の脚本を書いた野木亜紀子氏は、今年公開予定の湯浅政明監督『犬王』の脚本も手がけているという。湯浅監督もまた『DEVILMAN crybaby』や『日本沈没2020』で、現代社会の問題を逃げることなく描いてみせた。この二人がタッグを組んだら、どんなアニメーション映画になるのか、今からとても楽しみである。

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