ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

東京国際映画祭「2020年、アニメが描く風景」へ

11月7日(土)、再び東京国際映画祭へ。

この日は「2020年、アニメが描く風景」と題したトークセッションに参加。進行役を藤津亮太さんが務め、『サイダーのように言葉が湧き上がる』のイシグロキョウヘイ監督、『ジョゼと虎と魚たち』のタムラコータロー監督、『ぼくらの7日間戦争』の村野佑太監督、『魔女見習いをさがして』の佐藤順一監督が登壇し、アニメーションの背景美術をテーマとしたトークが展開された。アニメといえば作画や声優が特に注目されがちだが、藤津さんによれば、近年さまざまな作品で美術への挑戦が起きているといい、背景制作のデジタル化という制作環境の変化や、新海誠監督『君の名は。』の大ヒットにより背景美術の訴求力が高まった点も挙げて、背景美術をトークテーマに選んだ理由を解説してくれた。 

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四人の監督からは、それぞれの作品の背景美術の見どころや、ロケハン時のエピソード、さらに写真レイアウトの功罪について語られ、興味深い話がたくさん聞けた。詳しい内容は上記のレポート記事を読んでもらうとして、背景美術への注目が高まるにつれてディテールが重視される傾向には四人とも思うことがあるようで、「描かないところは描かない勇気も必要」と語ったイシグロ監督や、制作の過程において議論された“映画らしさ”について「その“映画らしさ”って幻想なんじゃないかと。密度を限界まで下げて、シンプルな線で描いたものだって訴求できると思う」と述べた佐藤監督のコメントが印象的だった。欲を言えば、実際に背景を描く美術スタッフの話も聞きたかったが、背景美術にはまだまだ大きな可能性が残されていることを強く感じたトークセッションだった。

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2020年、アニメが描く風景|TIFFマスタークラス