ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

ラクガキングダム(ネタバレ若干あり)

『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』を観た。

毎年観に行っているクレしん映画シリーズだけど、今年は監督が『ラブライブ!』『宝石の国』の京極尚彦氏、脚本が『そこのみにて光輝く』などの高田亮氏だと知って驚いた。両者の手がけた作品には度々楽しませてもらっていたので、今回はかなり期待度が高かった。

その期待通り面白かった。子供が自由に書いた落書きをエネルギー源として空に浮かんでいる「ラクガキングダム」という王国の設定がユーモラスで、良い意味で子供向けらしい。しかし、子供が落書きを書かなくなってしまったがために、王国は危機に瀕し、その危機を救うべく、王国軍が地上に進出し、子供たちに無理やり落書きをさせるという展開は、なかなか風刺じみていて、正にクレしん映画らしい。また、ぶりぶりざえもんが久々にセリフ有りで登場するということもあってか、彼の活躍が大いに光る。終盤は『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』を思い出してしまって、少しホロリとしてしまった。他にも自衛隊描写にやたらと気合い入ってたところも『温泉わくわく大決戦』っぽいなあと思っていたけど、そういえば京極監督は『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』も手がけていたんだっけ(笑)

そんなクレしん映画らしさを受け継ぎつつも、これまでにない新しい要素としてゲストキャラ、ユウマ(CV:黒沢ともよ)の存在が、個人的に惹かれた。彼は、しんのすけとは何の縁も無く、かといってラクガキングダムとも全く関係ない一般人。しんのすけたちが春日部に戻る道中でたまたま知り合うという少年で、過去作品にはほとんど見られない、いわば第三者的存在という珍しいタイプの登場人物だ。その第三者である彼の視点も加えたことにより、しんのすけら四人の勇者の存在の大きさを浮かび上がらせている。やがて、その存在の大きさを知ったユウマはある行動を起こし、騒動の解決へと導いていくのだが、それまで一傍観者であった彼が、一当事者へと足を踏み入れた瞬間は込み上げるものがあった。

そんな彼の勇気を知ってか知らずか、しんのすけは最後に、救いのヒーローだと言って、自分の落書きをななこお姉さんに見せる。そこに描かれていたのは、ぶりぶりざえもん、ニセななこ、ブリーフと、もうひとり…。

しんのすけのような非凡でなくても、人は勇者になれる。そう思わせてくれるラストカットだった。

【作品紹介】
京極監督&黒沢ともよと言ったらこれ。序盤と終盤で、性格が変わってしまうキャラを見事に演じ分ける彼女の演技力は最高である。