前回から間を空けてしまったが、今期の春アニメについての感想を。
今期は人気作品の続編やら人気漫画のアニメ化やらオリジナルロボットアニメやらと例年稀に見る充実したラインアップだ。ゆえに数えてみたら今期の視聴作品は18本という、前期とほぼ同じの数字になってしまった。もう少しシビアになって見る作品を絞り込まないとヤバイよなあ…。
そんな中から、今期自分が注目している作品を紹介したい。
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原作漫画の評判は以前から耳にしていて、ずっと気にはなっていたのだが、結局放送までに読む機会がなかった。そのため、全くまっさらな状態でアニメを見たが、これは面白い。
Linked Horizonの疾走感溢れるOP音楽と映像でググッと引き込まれかと思えば、街に侵入する巨人には圧倒的な威圧感と絶望感を覚え、そして悲壮感が漂う。これだけ濃密で熱いアニメは久々かもしれない。巨人が来るわけがないと安心しきっていたところへ襲ってくる恐怖は、私たちの経験した「3.11」にも通ずるところがある。中世時代の雰囲気漂う舞台設定だが、そこで描かれているものは実に現代的と言える。
1・2話がシリアスな展開だっただけに、3話ではいきなりギャグ要素が加わって別の意味で驚かされたのだが、そういった先の読めない展開も、この作品の面白さの一つだろう。これを関西最速で観られるというのがなによりも嬉しい(笑)
ちなみに、MBSではこのあとに同じ梶裕貴主演の『変態王子と笑わない猫。』を放送しているので、梶くんファンにとってはたまらない時間帯である。演技も180度異なるしね。
『進撃の巨人』とは別の意味で衝撃的だったのはこの作品。「ロトスコープ」と呼ばれる、実写で撮影したのち、その映像をセル画にトレースして描くという手法で作られたこの作品には、賛否真っ二つに分かれたが、私はこれは「アリ」だと思っているし、実際見ていてとても面白かった。
そもそもアニメはすべて人の手によってコントロールできるものだから、もっと自由な表現があっていいと思う。作画は原作のイメージに合わせなければならないとか、そんな決まりは存在しない。しかし、昨今の、特にテレビアニメにおいては、自由な表現ができるものでありながら、どこか不自由になっている感がある。似たような原作を集めてきたり、似たようなストーリーを集めてきたり、似たようなキャスティングにしたりと、あらゆる面に広がっているように思う。そうなってしまったのはアニメファンがそれを強く求めてきたからというのもあるし、作る側もそれに応えるため、あるいはそっちのほうが売れ行きが良いからそうしてしまったのだろう。そうしていつの間にかできてしまった「枠」に、今のテレビアニメは囚われてしまっているように思う。『惡の華』はそうしたアニメの状況に対するアンチテーゼとして提示したものだったに違いない。
『惡の華』の原作自体は立ち読み程度でしか読んでいないが、こういう作品は、原作のタッチのままでアニメ化したところで、舞台である地方の閉塞感であったりとか、疎外感であったりとか、思春期特有の感情であったりとか、そういった諸々のリアルさは出せなかったのではないかと思う。かといって、ロトスコープをやるぐらいなら実写でやればよかったのではという意見もあるが、実写でもここまでリアルに表現できるかというと疑問に思う。絵に書き起こすことによって、実写よりもよりリアルに、そして感情に訴えかけるものが『惡の華』にはある。「萌え」だけがアニメじゃない。
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今期注目を集めているのがこれと『革命機ヴァルヴレイヴ』『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』という三大ロボットアニメ。『ヴァルヴレイヴ』は『ガンダム』+『コードギアス』かのような、いわゆるサンライズロボットアニメの集大成をやっているかのようで見ていて楽しい。(どちらかというとネタ的に。)
『マジェスティックプリンス』はロボットアニメらしからぬ軽いノリ。しかも平井久司氏がキャラデザなだけあって馴染みやすい作風だ。
そんな三大作品の中で、今のところ自分が一番面白いと思っているのはこの『ガルガンティア』だ。
『まどか☆マギカ』や『サイコパス』のようなダークなところは影を潜めているものの、杉田智和演じるチェインバーの語り口はどこかキュウべえを彷彿とさせる。作品の世界観を主人公に、そして視聴者にわからせようとする虚淵節は今作でも相変わらずのようだ。
この作品の興味深いところは、ロボット同士の争いより異文化の交流に重きを置いて描いていることだ。しかもレドはチェインバーを通じてではないと地球人と言葉を交わせない。殺し合いが当たり前の世界で生きてきたレドに、海賊に襲われながらも無駄な殺生はしないとベローズが諭すところに、ロボットアニメの根底を問われているような気がした。『まどか☆マギカ』で魔法少女アニメの根本を揺るがした虚淵玄は、今度はロボットアニメの根本を揺るがそうとしているのではないか。そんな可能性を感じる作品だ。