昨日はジェームズ・キャメロン監督の『アバター』を観てきた。これで今年2009年の映画は見納め。今年観た映画は44本。うち邦画は33本、洋画11本。アニメは邦・洋合わせて14本だった。結構観たと思っていたが、この本数ではまだまだ映画ファンとして堂々と胸張れるほどじゃないかも。これでベスト20を選んだらほぼ半分になってしまうのだが、みな良作だったので、やっぱりちゃんと紹介しておきたい。とりあえずマイベスト20の発表。
- ディア・ドクター(日本/監督:西川美和)
- グラン・トリノ(米国/監督:クリント・イーストウッド)
- 大阪ハムレット(日本/監督:光石富士朗)
- 縞模様のパジャマの少年(英・米/監督:マーク・ハーマン)
- 空気人形(日本/監督:是枝裕和)
- 母なる証明(韓国/監督:ポン・ジュノ)
- カールじいさんの空飛ぶ家(米国/監督:ピート・ドクター)
- 東のエデン 劇場版 I The King of Eden(日本/監督:神山健治)
- サマーウォーズ(日本/監督:細田守)
- アバター(米国/監督:ジェームズ・キャメロン)
- チェンジリング(米国/監督:クリント・イーストウッド)
- 南極料理人(日本/監督:沖田修一)
- 沈まぬ太陽(日本/監督:若松節朗)
- マイマイ新子と千年の魔法(日本/監督:片淵須直)
- ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(日本/総監督:庵野秀明)
- 劔岳 点の記(日本/監督:木村大作)
- クヒオ大佐(日本/監督:吉田大八)
- 風が強く吹いている(日本/監督:大森寿美男)
- スラムドッグ$ミリオネア(英・米/監督:ダニー・ボイル)
- 釣りキチ三平(日本/監督:滝田洋二郎)
一応良かった順に書いてはいるが、あくまでなんとなくの順位で、実際はほぼ同率、もしくはほとんど差がないといった作品が多い。順位をつけるというのはなかなか難しいもので、脚本や演出など、どれに重きを置くか、そして自分の好みによっても変わってくるところがあるので、なかなかこれといった順位がつけられないのだ。
そんな中でも、自分が一番心惹かれたと言える作品が、西川美和監督の『ディア・ドクター』だった。ニセ医者でありながら、村のために医者を演じなければならないことに対する伊野の苦悩。そして、そうせざるをえない僻地医療の現状。人間、そして社会全体の苦悩をまざまざと見せつけられる傑作だ。笑福亭鶴瓶演じるニセ医者の伊野には、すっかり感情移入してしまった。
演出力の素晴らしさで言うなら、『大阪ハムレット』『空気人形』あたりがピカイチ。『空気人形』では、ペ・ドゥナの演技にすっかり見惚れてしまった。今年の主演女優賞はこの人にあげたい。本物の映画を作るという気概に満ちあふれていた『劔岳 点の記』『沈まぬ太陽』のような大作が出てきたことは嬉しい。昨今のテレビ局製作の話題性、エンターテイメント性重視の作品の乱発に、一石を投じてくれたことだろう。
アニメに限って言えば、今年は『カールじいさん』『東のエデン 劇場版』『サマーウォーズ』がほぼ同率1位かな?『東のエデン』はやっぱりTVシリーズを見ておいたほうが楽しめるのだが、一つの「映画」として完成させようという神山監督の気概を感じさせた。注目の細田守監督の『サマーウォーズ』も期待を裏切らない出来。ただ、『時をかける少女』と比べるとちょっと評価は下がるかな。終盤のあの決着の付け方は、『ドラゴンボールZ』みたいでなんか苦手だ。一方で、『マイマイ新子』のような良作がヒットしていないという現実が悲しい。よほどスタジオや監督のブランド力が伴わないことには、ヒットは難しいものだと改めて思い知らされた。
ついでに、観たかったけど観に行けなかった作品もあげておこう。
今年公開作品ながら、現在発売中の『映画秘宝』2月号の「ゼロ年代ベストテン」の6位に入った快作。しかし、上映時間が4時間近くという大作で、ゆえに上映劇場も少なく、自分の予定もなかなか合わなかったので断念。同じ園子温監督の『ちゃんと伝える』は見に行ったんだけどなあ。ちなみに、ヒロインで出演している満島ひかりは、『クヒオ大佐』にも出演。今後の活躍に期待の若手女優だ。いつか時間をとってDVDで観ておきたい。