ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

ドラえもん誕生日の陰で旅立った一人の藤子ファン

本日9月3日はドラえもんの誕生日。ドラえもんの誕生まであと103年。そういうわけで、Google(日本版)はトップページロゴにドラえもんを登場させるという粋な計らいをしてくれた。考えてみれば、これほど誕生日がよく知られているキャラクターは他にいないのではなかろうか。
そんなお祝いムードの陰で、一人の藤子ファンの訃報が飛びこんだ。
ハンドルネーム、あるばたいん(以下、あるさん)。「藤子アニメだいすき!」の管理人。先月31日に逝去。享年35歳という早すぎる死だった。
私は、あるさんと直接お会いしたことはなかったのだが、彼が運営していたサイトは、ネットを始めた当初(9年ぐらい前)から見ていた。当時はまだ家にネットはつながっておらず、大学のPCから見ていたが、藤子アニメに関する情報量は群を抜いていた。藤子アニメのサブタイトル一覧やスタッフ情報、映画情報に、藤子アニメ放送枠の変遷など、当時はWikipediaもなかった時代に、これだけ濃密な情報を載せていたのは特筆である。
また、あるさんはアニメ『エスパー魔美』のDVD化を求め、署名運動も起こした。その後、2006年にDVD-BOXが発売され、ようやく私は『エスパー魔美』に触れることができた。本当に面白かった。署名運動が直接発売につながったわけではないだろうが、こうやって作品を楽しむことができたのも、あるさんたちの熱い思いが原動力になったことは間違いない。
本家のサイトこそ、最近はあまり見なくなっていたが、彼のブログ「パンポロリン!」はずっと読んでいた。ブログはいつも明るい調子で書かれ、藤子アニメに対する強い愛情が感じられた。ときにはコメントを書き込んだこともあり、返事もいただいた。また、私が参加したイベントに、実はあるさんも参加していて、ニアミスしていたこともあった。できたら一度お目にかかりたいと思っていた。
しかし、今年の6月に入って、急にブログの更新が途絶えた。どうしたのだろうと気になっていたが、しばらくして7月26日、「藤子・F・不二雄大全集」が発売されて久々に更新された。だが、そこであるさんはブログの休止を宣言。おおかた仕事が忙しくなったからだろうと思っていたが、まさかそういうことだったとは…。これがあるさんが記した最期の日記となった。


最期の日記にはこう記されている。

小学館『藤子・F・不二雄大全集』がめでたく発売されました!初めて読める話がまだまだこんなにある、なんというか生きる希望が沸いてきす。(原文ママ)

今にして思えば、この言葉がどれだけ彼にとって重いものだったのか。聞けば、あるさんは入退院を繰り返していたという。ブログでは明るく振舞っていた陰で、彼は病魔と戦っていたのだ。ブログの日付こそ、その日で止まっていたが、ブログタイトルの下には「藤子・F・不二雄 大全集』ドラえもん(2)エスパー魔美(1)キテレツ大百科(1)発売中!」の記述が。第2回配本が発売されたのは先月の25日。死の直前まで、彼の思いは藤子作品への強い愛情に満ち溢れていた。
藤子・F・不二雄大全集」もまだ刊行が始まったばかりで、2011年には「藤子・F・不二雄ミュージアム」が完成予定と、藤子ファンにとってはこれから明るい話題が続くというときに旅立たれてしまうとは…。さぞかし全集を読みたかったことだろう。ミュージアムにも行きたかったことだろう。思わず彼の心中を想像してしまう。そう思うと泣けてきてしまった。直接会ったこともないし、ブログで少しやり取りしただけなのに。なんだか身近な人が亡くなったかのようだ。
気がかりなのは、主を失ったサイトたち。いずれはブログもサイトも消されてしまうだろう。もっとも、Internet Archiveにログが残るだろうが、Googleはそういうサイトをもう拾ってはくれまい。Googleの検索結果から消える日もいつか来るだろう。だが、埋もれさせるにはあまりにももったいないサイトだ。なんとか引き継ぐ人が現れてほしいのだが。(自分がやればと言われるかもしれないが、私にはとても荷が重過ぎる。)


あるさんのご冥福を謹んでお祈りいたします。

<参照サイト>
あるばたいんさんが お亡くなりになられました - 高畑★SAN 魔美的 偶然日記 - Yahoo!ブログ