ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

読書レビュー『橋下「大阪改革」の正体』

府民の支持率8割という驚異的数字。だが、橋下知事の真の狙いを知った上で支持している人たちはこの中にどれくらいいるのだろうか?本著は、その橋下知事が掲げる「大阪維新プログラム」や「道州制」、「教育日本一」といった数々の改革の真の目的を解き明かしている。
本著から伝わってくるのは、一連の橋下知事の改革は、関西経済界の意向に沿うものであるということだ。道州制議論も、教育改革も、府庁移転構想も、実は経済界が以前から主張していたことだった。これらの政策の是非については、私は何とも言えないが、それを行なうことによって失われるものもあることは確かだろう。
第二章の「崩壊する福祉と継続する大規模開発」では、現在進行中の「箕面森町プロジェクト」をはじめとする、大阪府がこれまで進めてきた数々の大規模開発の歴史にも触れている。だが、その数々のプロジェクトも次々と破綻が相次ぎ、失敗の歴史を繰り返している。その一方で、次々と切り捨てられていくセーフティネット。ここはマスメディアももっと批判していいところだと思うが、世論の圧倒的支持率の前に、結局世論に迎合した報道しかできない。そんな情勢下で、よくぞここまで切り込んだものだと感心させられる。このほか、一ノ宮氏の十八番でもある「同和行政」についても鋭く切り込んでいる。
多少、感情的・主観的記述が目立つのが欠点だが、橋下知事の改革は本当に大阪にとって良いものなのか。そのまま受け入れて良いものなのか?少し立ち止まって考える時期に来ているのではないだろうか?橋下知事を支持する人にもぜひとも読んでもらいたい。

橋下「大阪改革」の正体橋下「大阪改革」の正体
一ノ宮 美成

講談社 2009-01
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