ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

藤子・F・不二雄のパラレル・スペース

マンガ - MANTANWEB(まんたんウェブ)
筆者はこのドラマを某ルートで見たんだけど、少なくとも原作に敬意を払って作っているのはよくわかった。(筆者は未見だが、)かつてフジテレビの月曜ドラマランドで、『夢カメラ』が原作からかけ離れた作品になってしまったことを思えば、今回のドラマは原作ファンには嬉しい作りにはなっている。
ただ、一つのドラマ作品として評価するとなると、これが微妙である。もっとも、6話とも監督が異なるので、完成度にバラつきが生じるのは致し方ない。ただ原作に忠実に作った“はず”の箭内道彦氏の『値ぶみカメラ』は、とてもドラマと呼べるような代物ではなかった。どちらかといえば、原作コミックの表現をどこまで忠実に再現できるのかという“実験”をしているようにしか見えなかった。そもそも、もともと箭内氏はCMディレクターなので、この人にドラマ演出をさせるほうが無理だったのかも。結局、CMの延長線上で作ってしまった感が否めない。(おまけに時間も短いし。)
逆に、原作の設定を踏まえつつも、オリジナルストーリーを展開した小泉徳宏氏の『ボクラ共和国』は、意外に「原作らしさ」を感じさせる作品だった。小泉氏自身は、「先生がこの作品でおそらく伝えたかったであろうメッセージを忠実に守り、それ以外の部分は必要に応じていくらでも変える、という自分ルールで作った」*1と語っており、原作の核の部分を最低限守り通すことで、原作に忠実であろうとしたのだ。原作に忠実に作ったつもりが「原作らしさ」を感じられず、逆にオリジナルストーリーだったのに「原作らしさ」を感じるという皮肉な結果が生まれてしまった。
結局、原作に忠実というのは、必ずしも原作どおりでやればいいってもんじゃない。原作の核となる部分をどこまで捉えているかどうか。そこを突き詰めれば、原作どおりにやらずとも、別の方法で原作に近づけるのではないだろうか?コミックの映像化には賛否両論あるが、映像化するのなら、原作の核を守りつつ、原作を打ち破る勇気も必要だろう。それが「映像化」というべきものだと思うが。


ちなみに、パラレルスペース全6作品の個人的順位
1位:ボノム 〜底ぬけさん〜(監督・脚本:藤本周)
2位:ボクラ共和国(監督・脚本:小泉徳宏)
3位:あいつのタイムマシン(監督:三木孝浩、脚本:大歳倫弘・上田誠(ヨーロッパ企画))
4位:かわい子くん(監督・脚本:筧昌也)
5位:征地球論(監督:青池良輔、脚本:三浦有為子・青池良輔
6位:値ぶみカメラ(監督:箭内道彦、脚本:三浦有為子)

B001Q5V0YS藤子・F・不二雄のパラレル・スペース 限定版 DVD-BOX(原作コミック付き)
長澤まさみ, 麻生久美子, 要潤, 田端智子, 箭内道彦;筧 昌也;小泉徳宏
VAP,INC(VAP)(D) 2009-03-25

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*1:[http://koizumi.robolog.jp/2008/12/post-f2c3.html:title]