ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

予想外の2020年。ウィズコロナ時代の気楽さと不安と

激動の2020年も間もなく終わる。

去年もただでさえいろんなことがあり、僕の人生の中でも忘れられない一年だと思っていたが、まさかそれを遙かに上回るような出来事が世界を襲うだなんて予想だにしなかった。世界は一変し、仕事もリモートワークが中心になり、遠出も気軽にできなくなった。東京五輪も当然中止・延期に。衝撃的な訃報も相次いだ。自分もまたこの一年、密かに計画していたこともあったのだが、それも少し見直さざるを得なくなった。自分だけではなく、世界中の多くの人がこのコロナ禍によって大きく人生を狂わされたことだろう。

だが、冷静に振り返ってみれば、少なくとも自分の生きた時代においては、そういった予想外の連続だったように思う。バブル崩壊オウム真理教事件アメリ同時多発テロリーマンショック東日本大震災・・・いずれも誰もが予想できなかったことに違いない。人類の長い歴史で見れば、このぐらいの出来事など数え切れないほどあるだろう。僕らは何が起こるかわからない世界で生きている。それを前提に、これからも僕らは生きていかなければならないのだろう。

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トレインホステル北斗星で、念願の個室寝台

ブルートレイン。かつては北から南まで日本中を走り、多くの鉄道少年たちが一度は乗りたいと目を輝かせたであろう憧れの存在だった。私がブルートレインに乗れたのは過去数回ほどだったが、列車で一晩を明かすという「非日常」な体験がなんともたまらず、興奮のあまりにベッドで寝付けなかったのが印象的だった。しかし、そのブルートレインも「北斗星」の廃止で消滅。「北斗星」も一度は乗りたいと思っていただけに、ブルートレインの廃止は、自分の鉄道熱を大きく下げるほどにショックな出来事だった。最近はクルーズトレインとしての豪華寝台列車も登場しているものの、ブルートレインと比べれば、どうしても敷居の高さを感じてしまう。

そんな懐かしのブルートレインを再び味わえる宿泊施設がある。それが馬喰町駅直結の宿泊施設「トレインホステル北斗星」だ。「北斗星」で使われていた2段ベッドやドアなどの実車パーツを再利用し、「北斗星」のイメージを引き継ぐ宿泊施設として2016年12月にオープンした。なかなか遠出もままならないご時世だし、せめて旅行気分を味わいたいと思い、ここへ宿泊することにした。

trainhostelhokutosei.com

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『ゆるキャン△』舞台探訪に行ってきた

過日、『ゆるキャン△』の聖地巡礼に行ってきた。と言っても、キャンプしに行ったのではなく、舞台の一つである山梨県身延町を普通に訪れたまで。キャンプしたい気もなかったわけではないが、アウトドアはもとより苦手なゆえキャンプセットは持っておらず、しかもペーパードライバーで車の運転もおぼつかないゆえ、キャンプ場を訪れる勇気が出なかった。結局、いつも通り電車で行ける範囲で聖地を訪れたのだった。

本栖高校

新宿から特急あずさで甲府に向かい、そこから身延線に乗り換え最初に降り立ったのは甲斐常葉駅。ここから歩いておよそ15分くらいのところに、リンたちの通う本栖高校(旧身延町立下部小・中学校跡地)がある。駅から本栖高校までは巡礼者向けに案内標識が至るところに設置されていて、地図を見なくても迷わず行ける。なんて親切なんだろう。一枚一枚標識を探して辿っていくのも楽しい。

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100年ドラえもんを手に入れた

12月2日。ドラえもんの誕生日の翌日。未来デパートで注文した「100年ドラえもん」が届いた。本当は12月1日に受け取るはずが、タイミング悪くその日は出社日で受け取れず、結局翌日に再配達してもらった。

7万円以上もする高価な豪華版に手を出したのは訳がある。原作単行本全45巻は持っているが、その半分以上は幼少期に親類から譲り受けたもの。大変有り難く頂いたが、カバーが無かったり、黄ばみや破れがあるものがほとんど。自分で購入したものも、繰り返し読みあさったり、雑に扱ってしまったりしたせいか、損傷が激しいものが何冊か・・・。当時は「保存する」ということまで考えが思い至っていなかったのだ。

そんな状態の本が、主を失えばどうなるか。価値のわかる人なら有り難く引き継いでくれるだろうが、状態の悪いものは大抵誰の手にも渡ることなく、そのまま捨てられてしまう。それはつまり『ドラえもん』が読み継がれなくなることを意味する。それは自分自身の存在が忘れ去られることよりも悲しい。単行本を残せる保証はないが、せめて原作だけは後世に永く読み継がれてほしい。そこで「100年ドラえもん」を購入することに決めたのだ。

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ドラえもん愛の無い自称ファンたち

doraemon-3d.com

藤子ファンの一人としては注目しないわけにはいかない映画だが、この映画に渦巻くネット世論の嫌悪感に、少なからず共感できる部分があることは否定できない。映画は興行物でもある以上、客を呼び寄せるために様々な工夫や仕掛けを施すことは当然のことだが、それが作品の本質に沿わないものなら反発を招くのは無理からぬ話だろう。だが、そうした嫌悪感を抱いた者の中に、『ドラえもん』を本気で理解し愛している人間がどれくらいいるだろうか?

振り返れば前作の『STAND BY ME ドラえもん』(以下『SBMドラ』)が公開されたときもそうだった。ドラえもんの映画は毎年春休みに公開されているというのに、それまで『ドラえもん』の「ド」の字も口にしなかったような映画評論家やライターが、話題作だからということでレビューする場面があちこちで見受けられた。レビュアーが実際に観て感じたことならば、何を述べるのも自由だ。しかし、所詮はそういう時にしか興味を示さないがゆえ、そのレビューの一つ一つに、彼らの『ドラえもん』への理解度や思い入れがあったかというと疑問が残る。中には「原作に全く興味が無い」などと原作を全く読んでいないことを明かして『SBMドラ』を批評した映画評論家も存在した。原作をスルーして『SBMドラ』を批評するとはどういうつもりなのだろう。まさか原作は、映画ほど語るに値しないとでも考えているのか。そうして展開されたその評論家のレビューからは『ドラえもん』への愛情など感じられるわけがなく、どちらかといえば監督のセンスを厳しく問うかのような内容で、もはや『ドラえもん』をダシにして自らの嫌いな映画監督をバッシングしているかのようだった。そんな愛情の欠片もない批評を真に受けたのか、これに同調する自称ファン達がこぞって声を上げていたのが、こんな一言である。

「天国の藤子・F・不二雄先生が泣いている」

出た。お決まりのフレーズ。だいたい藤子F先生の意思など、先生自身にしかわかるはずがない。あくまで「自分」が気に入らないってだけの話で済ませればいいものを、自分が先生の一番の理解者かのように振る舞う言動こそ、最も故人を冒涜している。これでは某新興宗教がいつも守護霊だとか呼び寄せて語らせているのと何ら変わらない。結局、そういう自称ファン達は『ドラえもん』への愛情などほとんど持ち合わせておらず、日頃抱いている不満のはけ口として『ドラえもん』を利用しているかのような印象を受ける。*1

Twitterドラえもんファン・藤子ファンの方と繋がっていることもあり、自分のタイムラインには、彼らの並々ならぬ『ドラえもん』への熱意や愛情のこもったツイートが毎日流れてくる。自分が藤子ファンを名乗るのも恥ずかしいくらいに。今作に限らず毎年映画が公開されるたびに、彼らは愛情を込めて映画の感想や見どころを語り合っている。むろん褒めるばかりではなく、時には厳しい評価を下すこともある。それらはすべて本当に『ドラえもん』を思っているからこその評価。少なくとも、こんなときにしか話題にしないレビュアーと比べれば、たとえ自分が納得しかねるものだったとしても、批評としては真摯だと思うのだ。

映画の賛否を語るのは個人の自由だ。だが、そこから発せられる発言は、本当に自ら『ドラえもん』を思ってのことなのか真剣に向き合ってほしい。どうしても思うことがあるのなら、まずは自分が思う『ドラえもん』の魅力を、自分の言葉で語ることも考えてほしい。

*1:そういえば最近、静香ちゃんが野比姓を名乗っている広告に物言いがついたことありましたなあ。

【告知】サークル「少恒星」 第三十一回文学フリマ東京 参加のお知らせ

先日の「おもしろ同人誌バザール」に続き、11月22日(日)開催の「第三十一回文学フリマ東京」に弊サークル「少恒星」出展します。

bunfree.net

文学フリマへの参加は、昨年GWの第二十八回以来、およそ1年半ぶりです。今回も新刊はなく既刊本のみですが、是非足を運んでいただけると嬉しいです。文学フリマと聞くと、少しお堅いイメージを持たれるかもしれませんが、小説・文学のみならず評論・研究本やミニコミなど、様々なジャンルの活字系同人誌が集まりますので、お気軽にお越しください。入場無料です!

【頒布物】

※「2019年上半期劇場アニメ裏おもてレビュー」は冊子版の頒布となります。

【参加日時】
2020年11月22日(日)第三十一回文学フリマ東京 12:00〜17:00(入場無料)
会場:東京流通センター 第一展示場
ブース: チ-22
カタログ: https://c.bunfree.net/e/7dF

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東京国際映画祭「2020年、アニメが描く風景」へ

11月7日(土)、再び東京国際映画祭へ。

この日は「2020年、アニメが描く風景」と題したトークセッションに参加。進行役を藤津亮太さんが務め、『サイダーのように言葉が湧き上がる』のイシグロキョウヘイ監督、『ジョゼと虎と魚たち』のタムラコータロー監督、『ぼくらの7日間戦争』の村野佑太監督、『魔女見習いをさがして』の佐藤順一監督が登壇し、アニメーションの背景美術をテーマとしたトークが展開された。アニメといえば作画や声優が特に注目されがちだが、藤津さんによれば、近年さまざまな作品で美術への挑戦が起きているといい、背景制作のデジタル化という制作環境の変化や、新海誠監督『君の名は。』の大ヒットにより背景美術の訴求力が高まった点も挙げて、背景美術をトークテーマに選んだ理由を解説してくれた。 

natalie.mu

四人の監督からは、それぞれの作品の背景美術の見どころや、ロケハン時のエピソード、さらに写真レイアウトの功罪について語られ、興味深い話がたくさん聞けた。詳しい内容は上記のレポート記事を読んでもらうとして、背景美術への注目が高まるにつれてディテールが重視される傾向には四人とも思うことがあるようで、「描かないところは描かない勇気も必要」と語ったイシグロ監督や、制作の過程において議論された“映画らしさ”について「その“映画らしさ”って幻想なんじゃないかと。密度を限界まで下げて、シンプルな線で描いたものだって訴求できると思う」と述べた佐藤監督のコメントが印象的だった。欲を言えば、実際に背景を描く美術スタッフの話も聞きたかったが、背景美術にはまだまだ大きな可能性が残されていることを強く感じたトークセッションだった。

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2020年、アニメが描く風景|TIFFマスタークラス