ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

『心が叫びたがってるんだ。』を支える背景美術(と、あのお城について)

あの花』スタッフの最新作『心が叫びたがってるんだ。』(以下『ここさけ』)を観た。

もともと『あの花』は好きな作品なのはもちろん、長井龍雪監督の最新作ということで非常に楽しみにしていた。監督・スタッフのインタビューや予告映像からして、アニメにしては地味な作品になるだろうということは容易に想像できた。でも地味なのは全然大歓迎だし、むしろ自分はそっちのほうが好み。なので、長井監督がそういう方向で勝負してくれたことには素直に嬉しかった。そんな自分の期待に見事に応えてくれたと思う。

【※以下『ここさけ』のネタバレを含みます。】

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原恵一監督はアニメ声優の演技が気持ち悪いだなんて言っていない

なにやら私の敬愛する原恵一監督の声優の演技に対する発言が、一部ニュースサイト・まとめサイトで取り上げられているようで。

エコーニュースR – 「アニメ声優の演技は気持ち悪いと言ったせいで、根に持たれている」・・『百日紅』、原恵一監督記者会見

芸能人声優の起用の是非とか、声優の演技がどうとかいう話は、これまで幾度となく繰り返されてきた話ではあるので、食傷気味な感がある。私の意見としては、出来上がった作品そのものが全てを物語ると思うので、誰を起用するかは作り手の自由だと思う。

しかしながら、一応原監督の応援ブログをやらせてもらっている身としては、この記事及びこれに対するネットユーザーの反応に承服しかねるところがあるので、自分なりに反論、というか正しい議論をしてもらうための材料をここで提示させていただきたいと思う。今回の記事は応援ブログのほうでやってもよかったけど、ブログの趣旨から外れそうな気がしたので、こっちで書かせてもらう。

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作り手との距離の縮まりを感じたAnimeJapan2015

先日の3月21日と22日の二日間、東京ビッグサイトで開催された「AnimeJapan2015」に行ってきた。昨年東京国際アニメフェア(TAF)アニメコンテンツエキスポ(ACE)が統合され、新たな日本最大級のアニメイベントとして生まれ変わってからは初めての参加だった。前身のTAF・ACEを含めれば、2年前のACE以来の参加だが、完全体としての総合アニメイベントとなると、TAF分裂前の2010年以来5年ぶりとなる。

www.anime-japan.jp

アニメジャパンwww.flickr.com

文化庁メディア芸術祭(作品展&『たまこラブストーリー』トーク付き上映)に行ってきた

神保町シアタードラえもん映画祭を観に行ったあと、すぐに向かったのは六本木の「第18回文化庁メディア芸術祭」へ。毎年受賞結果を楽しみにしているメディア芸術祭だが、作品展自体に来るのは2008年の第11回以来7年ぶり。確かそのときは『河童のクゥと夏休み』がアニメ部門の大賞を受賞して、原恵一監督らの受賞者トークを聞きに行ったなあ。


第18回文化庁メディア芸術祭

作品展は、各部門の受賞作品の上映や展示が、部門ごとに区切られて行われ、なかなか見応えのある内容になっていた。あいにくこのあとに『たまこラブストーリー』の上映会が控えていたため、展示をゆっくり見ることができなかったのだが、美術館などに行って作品を観るよりも気軽に、しかしアーティスティックな感覚を楽しめるのがメディア芸術祭の面白さなのだと思う。できることなら全国巡回してほしいところなのだが…。

ドラえもん映画祭@神保町シアターに行ってきた

今でこそ毎年映画館でドラえもん映画を観ているが、自分が小学生のときにドラえもん映画を映画館で観たのは、小学5年~6年のとき、父の転勤で一時福岡に移り住んでいた頃だった。ちょうど家から歩いて行ける距離に映画館があったので、兄弟と3人で観に行ったものだ。(もっとも兄は親の代わりに付き添っただけだったが。)観たのは『ブリキの迷宮』と『夢幻三剣士』。おそらく映画館で映画を観るという経験も、記憶している限りではこれが初めてだったと思う。映画館のスクリーンが、今でいうところのIMAXシアター並みの大きさに感じられたなあ。(実際はそこまで大きくはなかっただろうが。)

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2014年鑑賞映画マイベストテン

前回から間を空けてしまったけど、2014年のテレビアニメベストテンに続いて、今回は2014年に鑑賞した映画ベストテンを。
 
昨年観た新作映画を数えてみたところ、なんと90本に及んだ。今まではだいたい多くて年間70本くらいだっただけに、自分でも驚いてしまった。その内訳は、邦画47本、洋画43本、そしてアニメは15本。洋画を観る本数が飛躍的に増えたのが大きな要因と言える。これに加えて旧作上映も加えると100本は超えそうだ。
 
というわけで、洋画・邦画のマイベストテンと、アニメ映画のマイベスト5を発表。

2014年テレビアニメマイベストテン

本年も当ブログをよろしくお願いいたします。
みなさんにとって良い年になりますことをお祈りします。
 
さて、年も明けたのに去年の話をするのもなんだが、毎年恒例ということで2014年のマイベストテンをそれぞれ振り返っていきたいと思う。まずはテレビアニメのマイベストテンから。
 
【第1位】ピンポン THE ANIMATION
【第2位】キルラキル
【第3位】四月は君の嘘
【第4位】スペースダンディ
【第5位】シドニアの騎士
【第6位】ハイキュー!!
【第8位】凪のあすから
【第10位】ハナヤマタ
 

【第1位】ピンポン THE ANIMATION 

2014年は湯浅政明の年だったと言える。この『ピンポン THE ANIMATION』はもちろんのこと、『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』でのラストバトルシーンに、『スペースダンディ』第16話、そして『アドベンチャー・タイム』の「Food Chain」と、これほど多く湯浅監督の仕事が見られたのは、近年稀に見る出来事に思う。聞けば『アドベンチャー・タイム』の制作を機に、湯浅監督はサイエンスSARUというアニメスタジオを設立したとのことだが、それがきっかけとなって仕事の幅がますます広がってきているようだ。現在メガヒット公開中の『映画 妖怪ウォッチ』にも絡んでいるようで、今後の湯浅監督とサイエンスSARUの活躍にはますます注目せざるをえない。

その『ピンポン THE ANIMATION』、湯浅監督自ら描いた絵コンテから生み出される独特の画面構成や、巧みに語られる群像劇、そして何より熱のこもった試合シーンに大きな衝撃を受けた。特に10話・最終話の衝撃は、『SLAM DUNK』の山王戦を読んだときに匹敵するほど。それを見たあと、しばらく他のアニメを見る気が起きなかったのは初めてのことだった。全話録画していたにも関わらず、結局BD-BOXを買ってしまったのだが、全く後悔はしていない。これでまた湯浅監督の次回作に繋がると思えば安い買い物だ。
 
【第2位】キルラキル 

一昨年、前半クール終了時点で1位にしたが、その勢いはとどまることを知らず、結局2014年も上位に入れさせてもらった。後半クールは、勢いに任せた超展開の数々に圧倒されっぱなし。これが中島かずき流なのか。そんな中島かずきのシナリオに引っ張られるかのように、キャスト陣もそれぞれキャリアハイと言っていい名演技を見せてくれて、最後までとても楽しめた。

 
【第3位】四月は君の嘘 

まだ前半クール終了時点だけど、少年の取り巻く世界を色鮮やかに映し出す演出や、メリハリのあるストーリー構成、演奏シーンのクオリティの高さに、素直に涙したくなる。後半クールが楽しみ。

 
【第4位】スペース☆ダンディ

多くの実力派クリエイターがそれぞれ個性を発揮して作り出す、このいい加減な(褒め言葉)作品世界に、今どきのアニメにないものを感じさせた。そんな適当さ全開で作られながらも、ちゃんとシリーズを収束させてしまう構成には唸らされる。

 
【第5位】シドニアの騎士

これといい『楽園追放』といい、3DCGで魅力あるキャラクターを描けるようになったことは、日本アニメにとって大きな意味を持つと思う。星白の実に可愛いことよ。2期からCGがどんな進歩を遂げるかにも注目したいところ。

 
【第6位】ハイキュー!! 

『黒子』や『テニプリ』のような超人たちが活躍するようなアニメとは違い、ただ真っ当にバレーに打ち込む、実に正統派な部活アニメ。「敗者」をしっかり描けているところが心打たれる。手描きアニメもまだまだやれると言わんばかりの、安藤雅司氏が手がけた第24話Cパートの食事シーンには泣かされた。

 
【第7位】月刊少女野崎くん

2014年で最も笑わされたテレビアニメだと思う。少女漫画家ゆえのズレた発想には、逆に敬意を表したくなる。どいつもこいつもどこかおかしい(笑)

 
【第8位】凪のあすから
凪のあすから 第1巻 (初回限定版) [Blu-ray]

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ファンタジックな世界を舞台で交わされる人間模様が切なくて愛らしく思える。こういう物語はPAの十八番だなあ。

 
【第9位】一週間フレンズ。

原作コミックまで買ってしまったほど惹かれた一作。雨宮天の優しい声に魅了された。原作はもうすぐ完結を迎えるが、どんな締めくくりになるのか楽しみ。

 
【第10位】ハナヤマタ
ハナヤマタ1 [初回生産限定盤][Blu-ray]

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作品特有の神秘的な色彩が、よさこいをより輝かしく見せてくれて芸術的。キャラクターも個性的で、青春アニメとして素直に楽しめた。

 
次点作品は、『SHIROBAKO』『Fate/stay night』『Gのレコンギスタ』『アルドノア・ゼロ』といったあたり。もっとも、いずれも2クール作品でまだ後半部を残しているので、全体としての評価はまだ保留という意味合いも込めているが。中でも『SHIROBAKO』は、今後登場人物たちがどんな成長を見せるのか、どんな危ないネタをぶっちゃけるのか、いろんな意味で期待したいアニメだ。水島監督楽しみにしてますよ。
 
次回は映画ベストテンをやります。