ぬるオタな日々 by @chusingura

実家暮らし・・・を晴れて卒業。三十路独身のぬるオタの日々戯言

廃止直前のトワイライトエクスプレスに乗ってきた

1989年に登場して以来、当時鉄道好き小学生だった自分の心を掴んで離さなかったのが、寝台特急の「トワイライトエクスプレス」だった。寝台特急そのものへの憧れの上に、まるでホテルのスイートルームかのような客室、食堂車の豪華なフランス料理、格式高い雰囲気の車内。鉄道図鑑でまざまざと見せつけられた私はすっかり虜になってしまい、いつかは絶対に乗りたいという夢を抱いた。あれから月日が流れ、当時抱いていた鉄道熱も冷めてしまった感があるが、それでもトワイライトエクスプレスはずっと乗りたい特急のNo.1であり続けた。

それだけにトワイライトが来年春に廃止されると聞いたときはショックだった。もっとも、発表の少し前から北陸新幹線北海道新幹線の開業の影響で廃止されるのではという噂が上がっていて、そろそろ乗りに行きたいと考えていた。その矢先の廃止発表には「これで予約がますます取りにくくなる」と二重のショックを覚えたのだった。

こうなったからには何が何でも乗らなければ。そう思い今回の旅を決行するに至った。

 

ところが、10時打ちを狙うも、一番手頃なBコンパートすら予約がとれないという有様。こうなるとキャンセル待ちを狙うしかないのだが、廃止直前のこの時期にキャンセルをする客が現れるのかどうか。旅行会社のツアーのキャンセルも出るのかどうかさえ怪しい。しかしどうしても乗りたい。

で、迷いに迷って・・・結局ネットオークションで切符を手にしてしまったわけで。
といっても手にしたのはBコンパートの上段で、落札価格は1万6千円ほど。通常と比べ7000円近く余計にかかった。もちろん個室が取れれば言うことなしだったが、B個室のシングルツインでも平均5万円、スイートとなれば10万円を超える価格で取引されているようではとても手は出せない。ともかく乗れるだけでもありがたいと思って、この日を待ちわびていた。
 
 
出発当日の7/12(土)。
この1週間ほど前から台風8号が接近し、最悪運休の可能性も出てきてどうなるかと心配したのだが、必死の祈りの甲斐があってか前日に消滅。無事に運行されることになってホッとした。
 

f:id:shinchu:20140721215802j:plain入線直前、大阪駅ホームに食堂車「ダイナープレヤデス」のスタッフがトワイライトを待ち構えていた。これを見て、ようやく憧れのトワイライトに乗れるという実感が沸いてくる。

 

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ついにトワイライトがやってきた。いつもは傍目から写真を撮るだけだったのが、今回はちゃんと乗れる。トワイライトが到着するやいなやスタッフが慌ただしく準備を始め、食材などを運び入れる。こういう光景もトワイライトならではだ。

 
ホームで一通り写真を撮り終えたのち、車内に乗り込んで内部の写真も撮影。さすがに25年という月日が経っているだけに、車両はやや年季が入っている。トイレや洗面所も新幹線のと比べればそこまで綺麗じゃない。それでも手入れは行き届いている感じだったし、旅を楽しむ分には全然問題じゃない。廃止の理由が老朽化だなんてウソだろ。せいぜいあと5年か10年は使えるだろ。
 

11時50分。ついにトワイライトは大阪駅を発車。20時間以上にわたる長い旅の始まりだ。

Bコンパートで私と相席になったのは、定年退職した60代くらいの老人男性に、20代くらいの若者。そしてツアーの女性添乗員さんだった。ご老人の男性はどうやら関東からやってきたらしく、帰りは北斗星に乗ってフランス料理を食べるのだと語っていた。一方、20代の彼は数日前にキャンセル待ちで切符が取れたそうな。これを聞いて少し悔しくなってしまった・・・。

女性添乗員は、トワイライトのあとは稚内方面へバスに乗ってツアー客を引率するというハードスケジュール。廃止まで引き続きトワイライトのツアーは企画されているようで、添乗員さんもこれからますます忙しくなりそうだ。個室もいいけれど、こうして相席になっていろんな人と出会えるのも良い。

 
 

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13時。食堂車の営業が始まる。だいぶ待たされたけど人生初の食堂車を体験。
オーソドックスにビーフカレーを注文。辛口だったけど美味しかった。海の家で食べる焼きそばみたく、食堂車だったからこそなおさら美味しく感じられたのだろうか。
 
昼食を終えて席に戻り、しばらくして「ダイナープレヤデス」のスタッフが、お客一人一人に夕食・朝食の予約の確認を取りにきた。スタッフの話によると、2~3年ぐらい前までは、空席が目立っていたのが、廃止発表後はやはり連日満席の大盛況のようだ。グッズの売上げも通常期の3倍を超えているのだそう。連日大忙しのスタッフのみなさんには、なんだか申し訳なくて頭が下がる思いだ。ちなみに私も記念グッズを購入した。
 
 

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やがてトワイライトは日本海側に入り、海が見えてきた。以前にもここを通ったことはあるけれど、やっぱりトワイライトだからか格別に感じられる。北上するにつれて日もだんだん落ちてきて、太陽の光が日本海を照らし輝かしい光景に。
日没の頃には内陸寄りに入ってしまったので、もう少し日没の時間が早ければ、あるいは列車が遅れていたら、もっと美しい光景が見られたと思うがそれでも十分だ。
 
夕食の時間。食堂車でフランス料理・・・といきたかったが、さすがに予算の都合もあったのと、形式張ったものが少し苦手というのもあって予約はせず。
 

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その代わりに頼んだのがトワイライト特製二段重。トワイライトのマークが入った重箱に詰め込まれた特製弁当だ。値段は1850円とフランス料理ディナーの15%ほど。これでも十分美味しい夕食を味わえた。
 

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夕食を食べ終えたのち、シャワールームの予約時間が来たのでサロンカー(4号車)へ。シャワールームは「ダイナープレヤデス」で予約を済ませる。一人につき30分ごとの予約制となっている。シャワールームの予約はすぐに埋まってしまうので、できれば出発してすぐのほうが望ましい。
シャワールームは二つあり、指定されたいずれの部屋を使う。ボディーソープは備え付けてあるが、タオル・石けん・シャンプーはないので、自分で持ってくるか、サロンカーの自販機でシャワーセットを買っておく必要がある。シャワールームに入ったのち、シャワーカードを入口の機械に挿入したらシャワーが使えるようになる。お湯が出せるのは6分間。短いようだが、途中で一時停止できるので、合計で使用できる時間が6分間ということだ。出しっ放しさえしなければ十分に使える時間だ。列車でシャワーを浴びるというのもそうめったにできない経験なので、つい時間制限ぎりぎりまでシャワーを使ってしまった。
 
21時からは食堂車はパブタイムの時間。
ちょうどシャワーを終えた直後の時間だったので行こうかと思ったが、あいにく客が一杯。待つのもしんどいので、結局サロンカーでしばらくくつろぐことに。

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この日はちょうどスーパームーン。夜もすっかり更けて車窓はほぼ真っ暗だったが、一際月が大きく明るく光っていたのが印象的だった。列車の走行音をただ聞きながらくつろぐひとときは、ずっと居たいと思うほど心地よい時間だった。
 
翌朝の朝食の時間が6時からだったため、この日は早めに就寝した。
 
 
翌日、すでにトワイライトは青函トンネルを抜けて北海道に入っていた。
車窓を見ると、そこには北海道の自然豊かな光景が広がっていた。
美しい森林そして湿原を走り抜けるトワイライト。
ようやく北海道にやってきたのかと実感が沸いた。
 

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そして朝食。車窓には雄大な自然と広大な海が広がる。それを横目に食べる豪勢な朝食。
昨日昼食を食べたときよりも遙かに、食堂車で食べる喜びを噛みしめたように思う。
朝食を食べた後も、サロンカーでじっくり北海道の雄大な景色を満喫した。
 

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だが、北海道に入ったということは、つまりこのトワイライトの旅も終わりに近づいているということ。そう思うと目的地に近づくにつれてだんだん寂しくなってきた。
25年間夢見てきたこのトワイライトの旅が20時間で終わってしまうのか。
札幌に着かないでくれ。遅れてくれ。
そんなことさえ考えるようになってしまった。
 
そしてほぼ定刻通りにトワイライトエクスプレスは札幌に到着。
ついにトワイライトの旅が終わりを告げた。
 

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札幌に着くとすぐに私は先頭車両のほうへ。付け替えられた機関車を見るために。
北海道でしか見ることのできない、トワイライトのヘッドマークが付いたDD51だ。
ようやく会えたよ、DD51。この旅の最後の思い出だ。
 

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そして10分か15分ほど停車したのち、トワイライトは札幌駅を離れていった。
私は見えなくなるまでトワイライトを見送った。
正直涙出そうになった。25年間の夢を叶えてくれたことへの感謝と、
もう乗ることはできないだろう寂しさの思いが交錯していた。
本当にありがとう。そして長旅お疲れさまでした。
 
というわけで、大金はたいて決行したトワイライトの旅だったが本当に行って良かった。
やっぱりこういう旅の過程を楽しめるのも鉄道旅の魅力の一つだと思うんですよね。
そんな旅ができる機会がますます減っていくのは本当に忍びない。
 
気になるのはトワイライトエクスプレス車両の廃止後の扱い。
今後は臨時特急として別の路線で第二の人生を送るのか、それとも鉄道博物館のほうに展示されることになるのか、はたまた廃車になってしまうのか。
JR西日本の看板列車の一つなのだから、何らかの形で後世に残してほしいものだ。
 
でも、その前に車両撮影会をやって、ロイヤルとかスイートとか自由に入れる機会を作ってもらえませんかね。それさえあれば、あとはもう何も言うことないです。

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トワイライトエクスプレス - an album on Flickr