ぬるオタな日々 by @chusingura

実家暮らし・・・を晴れて卒業。三十路独身のぬるオタの日々戯言

『ドラゴンボールZ』に出される助成金。これでいいのか?

今年の春は、『ドラゴンボールZ』が17年ぶりに劇場版の新作を公開するそうだ。

思えば、ちょうと私が小学校のころは「東映アニメフェア」として『ドラゴンボールZ』の劇場版が春休みに公開されていて、映画ドラえもんと毎年のように公開がぶつかり、どちらを観るのかよく話題に上ったものだ。今回は公開日をずらしたとはいえ、久々にドラえもんドラゴンボールZが対決するという光景は、なんだか懐かしくもあり、そして恐れも抱いている。未だに根強い人気なだけに、興行収入面ではおそらく負けるだろうなあ。(念のために言っておくが、今年のドラえもん映画も史上最高成績も見込める大ヒット中だ。)

 

さて、その劇場版『ドラゴンボールZ』だが、予告編を見てあることに気づいてしまった。それは予告の最後。


映画『DRAGON BALL Z 神と神』予告編 - YouTube

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「助成:文化庁」!?

どういうことなのかと少し調べてみたらすぐに出てきた。

平成24年度「国際共同製作映画支援事業」の採択について(PDF)

どうやらこれは、国際共同製作の映画を支援する文化振興事業らしく、これによって映画による国際文化交流を推進し、日本の映画の振興につなげるのが目的だそうだ。これは昨年度から始まったものだそうだで、昨年『BLOOD-C』が文化庁から支援を受けたことが話題になったが、どうやらそれと同じものらしい。

文化庁国際共同製作支援作品に「グスコープドリの伝説」「BLOOD-C」 文化庁国際共同製作支援作品に「グスコープドリの伝説」「BLOOD-C」

しかし、こういう助成金が出るのは、資金がなかなか集まりにくいような企画映画というイメージがあっただけに、まさか『ドラゴンボールZ』に文化庁から金が出るなんて予想外だった。しかし、『ドラゴンボールZ』クラスの作品なら、文化庁から金を貰わずとも製作資金は集まるだろうに。ちなみに『ドラゴンボールZ』に出された助成金の額は(予定額ではあるが)5000万円とのことだ。

なぜ『ドラゴンボールZ』に文化庁は助成金を出すことを決めたのか。その理由については、私が調べたかぎりでは残念ながら明らかとはなっていない。このことはあまり周知されていないようだが、これを知ったら『ドラゴンボールZ』のために税金払ってるんじゃないと怒り出す人も出てくるかもしれない。

これに限らず、助成金が出されている映画は多い。たいてい見かけるのは「文化芸術振興費補助金」と呼ばれるものだ。これは文化庁所管の独立行政法人日本芸術文化振興会が行っている「芸術文化振興基金」から出されているもので、政府からの出資と、民間からの寄付で資金を運用し、その運用益を助成に充てているそうだ。

芸術文化振興基金の概要(日本芸術文化振興会)

政府からの出資も入っているということなので、実際に税金からというわけではないのだろうが、間接的には国のお金が使われているということでいいのかもしれない。

その「文化芸術振興費補助金」、実際にどのような映画に出されているのかは以下の資料に記載されている。

平成24年度文化芸術振興費補助金 助成対象活動の決定について(PDF) 

『おおかみこども』のような大ヒットアニメ映画もあれば、周防正行監督の『終の信託』といった社会派映画、さらに映倫でR-18指定された『ふがいない僕は空を見た』など、良くも悪くもバラエティに富んだ顔ぶれだ。それだけ映画の内容については寛容だということを示しているのかもしれない。

しかし、映画というものは、観た人によって感想は千差万別なものであり絶対的なものではない。多くの人が「傑作」と認める作品でも、ある人にとっては駄作に見えることだってある。そういったことがあるから、なぜこんな酷い映画に国が金を出しているのかと怒り出す人が現れる。特に政治的にデリケートな題材となれば、『靖国』の上映中止騒動のようなことになるだろう。(ちなみに、そのきっかけを作った稲田朋美議員は、現在「クールジャパン」戦略担当大臣になっているというのは、笑えない冗談である。

優れた映画に助成金を出して、映画文化をもっと盛り上げようという文化庁や国の意思はわかるが、それが正しいのかは疑問だ。

亡くなった若松孝二監督はこのようなことを語っている。

映画は最終的に観客に届けてこそ初めて完成する。観客の減少やデジタル化に対応しきれず、次々と映画館が閉館している昨今、改めて映画を見せる場の重要性が問われているように思う。この国の映画館の入場料金は高いゆえ、観客も観る映画を選ぶのに慎重になっている。結局、テレビドラマの劇場版など損の少ない作品を選ぶようになってしまい、シネコンばかりが活気づき、ミニシアターはますます苦境に立たされてしまう。ミニシアターがなくなれば、シネコンではかけられないような個性的・挑戦的な映画が観られる場がなくなってしまう。それで本当に映画文化は盛り上がれるだろうか?助成金を出すにしても、映画に出すのと映画館に出すのとどちらがより公共性があるのか、今一度考え直すべきではなかろうか。

100歩譲って映画に助成金を出すというのなら、せめて入場料を安くして映画館に行きやすいような工夫をしてもらえないだろうか。だいたい助成金が出ている映画でも、入場料は全然変わらないし、これでは見てもらいたいと文化庁などは思っていても観客は足を運びにくいだろう。『だいじょうぶ3組』とかは小中学生は無料鑑賞ってことにしてもいいだろう。

なら『ドラゴンボールZ』も入場料安くしましょうよ。1000円で。