ぬるオタな日々 by @chusingura

実家暮らし・・・を晴れて卒業。三十路独身のぬるオタの日々戯言

Gumroadはこれまでのダウンロード販売サイトとどう違うのか

最近、「Gumroad」が気になっている。

誰でもデータを直販できるGumroad入門。クリエイターの生活は変わる? | fladdict 誰でもデータを直販できるGumroad入門。クリエイターの生活は変わる? | fladdict

実は、現在私が務めている会社は、これと似たようなサービスを運営している。サイト名を明かすことは控えさせていただくが、これまでもクリエイターがデジタルコンテンツを販売できるサービスというのはいくつかあった。例えば、FC2コンテンツマーケットDL-MARKETなどのようにコンテンツを幅広く総合的に扱っているところもあれば、DLsite.comなどのように特定のジャンルに絞って販売するところなど、サイトによって微妙な違いはあれども、そうした場はすでに提供されていた。しかし、どれも「Gumroad」ほど話題になったとは言いづらく、「Gumroad」の出現で初めてデジタルコンテンツを売ってみようという気になった人も多いだろう。

いったい「Gumroad」はこれまでのダウンロード販売サイトと比べて、どう違うのだろうか。むろん手数料が5%という安さもあるだろう。実際、従来の販売サイトの手数料は安くても10〜15%ぐらいだ。だが、一応サイトの運営に関わっているものとしては、それだけではない気もする。

以下に「Gumroad」とは明らかに異なるだろう点を挙げてみた。


・マーケットに「出品」するのではない

従来の販売サイトは、どちらかというとマーケットに出品するというのが近いと思う。Yahoo!オークションと同じようなものと考えていい。マーケットに出品して、そのマーケットを訪れる人が商品を探して購入するというのが、従来の販売サイトの主なスタイルだ。だがそれは、マーケットの訪問者数によって売り上げが左右されてしまう欠点を持つ。どんなに良いコンテンツを販売しても、マーケット自体の集客が悪ければ、売り上げは見込めない。

もっとも、マーケットに出品するだけではダメなわけで、実際には自分のブログやTwitterで商品の宣伝をすることも大事なことである。マーケットの訪問者に買ってもらいたいのではなくて、自分のファンや顧客に買ってもらいたいというのなら、欲しければここで買ってくれとマーケットに誘導すればいい。が、ここでもう一つ問題点が出てくる。それが次の項目。


・購入者の会員登録不要

現在の販売サイトは、やはり会員登録が必要なところが多い(未登録でも買えるところもあるが)。自分もそうなのだが、あまりにいろんなところに会員登録すると、IDやパスワードの管理が面倒になってくる。二回目以降も使うのではあれば、会員登録にそこまで抵抗は感じないが、次も使うかどうかわからない販売サイトに登録しなければならないというのは、やはり躊躇うところもある。そこでしか買えないというのでなければ。

これが「Gumroad」だと、購入者の会員登録は一切不要。メールアドレスとクレジットカード番号を入力させるだけでいいのだから、会員登録への抵抗感を全く覚えない。売る側にとっても、こっちのほうが自分のファンや顧客に会員登録をさせるという手間を省かせることができて、彼らとの距離感をより縮めることができるだろう。(もっとも、カード持ってない人はどうすればいいのかという課題もあるが…。)


・とにかくシンプルに始められる

「Gumroad」について特に特筆すべきなのは「シンプル」であることだろう。販売を開始するにしても、登録はメールアドレスとパスワードだけを入力したらさっそく始められる。FacebookTwitterのアカウントを使うことも可能。一応自分も試しに登録してみたが、驚くほど簡単に登録できてしまった。

これが従来の販売サイトだと、例えばうちの会社の運営するサイトを例にすると、入力項目がとにかく多い。メールアドレスはもちろん、名前・ニックネーム、そして振込先の銀行口座や自分の住所・電話番号も入力しなければならないのだ。ここまで入力する必要があるのかという疑問が生じるが、そこらへんはどうも国内の法律が絡んでいるらしいが・・・詳しいことは不勉強なのでなんとも言えない。とにかく入力項目が多すぎると、登録を面倒に感じるのは確かだ。

コンテンツをアップロード・販売するにしてもシンプルだ。値段、商品説明を書いて、あとはコンテンツをアップするだけでいい。しかし、それなら従来の販売サイトでも同じようにできるのではと思われるが、そうでもない。値段や商品説明の記入はもちろんだが、販売サイトは思った以上にいろんな販売機能を盛り込んでいる。他商品とのセット販売や著作権保護機能(DRM)、特別価格の設定などなど…。場合によってはそれらの設定もしなければならない。しかし、これらの販売機能をクリエイターが全部把握して使いこなせるかといえば微妙なところではある。すべての販売機能を把握しているクリエイターなどおそらく少数だろう。

ゆえにその機能の多さが、かえってコンテンツの販売は難しそうというイメージを植え付けてしまっているのではないかと思う。ただ、これは別に多機能が悪いと言いたいわけではない。DRMにしたって、著作権侵害を心配する人はそういう機能があったほうがいいだろう。販売者のニーズに応えたがゆえの到達点といえる。

結局のところ、Twitterのようなシンプルさをダウンロード販売にもたらしたのがヒットの理由なんだろうと思う。ブログと比べたら、Twitterは140文字以内の短文で済むし、何かしらのカスタマイズをするにしてもhtmlの知識はほとんど必要ない。コメントやトラックバックなどの細かな設定もない。このシンプルさがTwitterをここまで流行らせたのだろう。「Gumroad」はやや敷居の高かったダウンロード販売を、Twitterレベルにまで引き下げたのだ。


ただ、「Gumroad」に大きな問題点があることは以下でも指摘されているとおりだ。

Gumroad の危険性について早めに警鐘を鳴らします 物語を語ろう。物語を創ろう。 Gumroad の危険性について早めに警鐘を鳴らします 物語を語ろう。物語を創ろう。
Gumroad の問題点についてもう少し掘り下げてみます。 物語を語ろう。物語を創ろう。 Gumroad の問題点についてもう少し掘り下げてみます。 物語を語ろう。物語を創ろう。

少なくとも本気でダウンロード販売で収益を上げたいと考えているクリエイターにとっては、まだ「Gumroad」には手を出せる段階にないのではと思う。(すでに参入している出版社もあるとはいえ。)勝手のわからない海外のサービスを使うよりは、多少手数料が高くても、国内のサービスのほうがまだ安心かもしれない。(その上、著作権保護をしっかりやってくれるところなら尚更だ。)
おそらく現段階では、「Gumroad」はしばらく投げ銭感覚で使われるのがメインとなるだろう。

ただ、ここまでダウンロード販売をシンプルにした「Gumroad」の登場はやはり大きいと思う。これから既存のダウンロード販売サイトは「Gumroad」を意識せざるをえなくなるだろう。少なくとも「Gumroad」にない利点をどう見出していくかが課題となりそうだ。