ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

さようならシネマデプト友楽

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昨日1月31日をもって、奈良市のシネマデプト友楽が68年の歴史に幕を下ろした。1942年に「奈良ニュース映画館」として開業以来、奈良で映画を見るならここというぐらい地元奈良県民に親しまれた映画館だった。私は最近は仕事などで大阪に行くことが多くなり、この劇場で見ることも少なくなってしまったが、以前はよくここに足を運んでいたものだった。鑑賞メモとして使っている「Yahoo!映画」のお気に入り映画館には、この劇場をずっと入れていて選択肢の一つとして残していた。しかし、最近は市内外にシネコン併設のショッピングセンターが進出してきたことも影響し、入場者数は減少。劇場の経営者が病を患ったことも重なって、とうとう閉館することになった。本当に寂しいことである。
閉館前の29日から3日間、さよなら上映として名作のワンコイン上映が行われるということで、私は30日に感謝の意を込めて足を運んだ。劇場ではポスターやチラシが無料で持ち帰れるコーナーがあり、探ってみると人気作や話題作のポスターが出るわ出るわ。さすがにポスターはうちには貼れる余裕がないので持って帰れなかったが、チラシを数枚程度持っていった。その中での一番の収穫は『オトナ帝国』と『戦国大合戦』のチラシだったかな。
営業は68年続いていると言ったが、建物自体は1990年に大手に先駆けてシネコンとして建て直され、数年前には内装をリニューアルしたため、あまり古さは感じられない。むしろ最近できたかのように新しい。場内はとても上品っぽくて落ち着いた雰囲気。館内の間接照明がますます上質感を演出してくれる。大手のシネコンと比べても大差ないのではないか。ますます閉館が惜しまれる。
今回、さよなら上映で見た映画は『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989年)。実は名前は聞いていたのだが、今までほとんど見る機会がなかった。この機会にようやく見ることができたのだが、さすがは名作といわれるだけある。映画の面白さを再認識させられたのと同時に、劇中に出てきた映画館がこのシネマデプトとかぶって見えて、長年愛してくれた観客への最後のメッセージのように感じた。この劇場の有終の美を飾るにふさわしい作品だった。
正直こういうことになるなら、もっと観にいけばよかったという後悔している。この建物は今後どうなるのかはわからないが、これだけ立派な劇場がこのまま消えてしまうのは本当に惜しい。大手のシネコンでもいいから、どこか運営を引き継いでもらいたいものだが、簡単にはいかない話だろう。
長い間、奈良県民の映画ファンを楽しませてくれたシネマデプト友楽。本当にありがとう。そしてお疲れ様でした。