ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

学校の授業で観た映画

今はもっぱら、DVDを借りるか劇場で映画を観るのだが、学校に通っていた頃までは授業で観るというのもあった。そのほとんどは、道徳や人権学習の一環か、国語や英語の授業で取り上げた作品の映像化、あるいは事柄に深く関わる作品ということで観た(というより観せられた)ものだった。今だったら「総合学習」を利用して映画を観せているかもしれないが。
前者の場合だったら、文部科学省推薦の映画がよく選ばれそうなのだが、私が小学3年か4年のときに道徳(だったように思うが。)で観た映画は、なぜか風の谷のナウシカ。今思えば贅沢なチョイスなのだが、当時の私には正直よくわからなかった。そのぐらいの学年には、もう少しわかりやすい映画があるだろうに…。一体、先生は、ナウシカを通じて何を教えたかったのだろう。ちなみにその先生は、当時20代くらいの若い女の人だった。まさか、自分の子どものころに観て印象に残ったからじゃないだろうな?
もちろん、人権学習にふさわしい映画もあった。ウーピー・ゴールドバーグ主演の『ロング・ウォーク・ホーム』は、アメリカの黒人差別問題を鋭く描いた作品。ラストで、主演の彼女が歌を歌うシーンは強く印象に残っている。確かこれは、英語と道徳の合同授業という形で行われた記憶がある。英語の授業では、どちらかといえば映画は教材として使われ、登場人物のセリフ(もちろん英語)を一文一句読み解いていく形で行なわれていた。で、中学と大学のときに教材とされたのが、どっちも『フィールド・オブ・ドリームス』。中学のときは今ひとつピンと来なかったけど、大学生になって観たら、中学のときとはまた違った印象を持ったので、ちょっと驚いた。年を経れば、映画の見方も自然と変わってくるものだなあ。
そして、国語の授業で観せられたのは、太宰治の『走れメロス』や森鴎外の『舞姫』といった教科書定番作品の映画化。前者は1992年のアニメ版で、主人公メロスの声優は山寺宏一中森明菜がゲスト出演で、主題歌は小田和正という面々。後者は、1989年の郷ひろみ主演の実写映画。『舞姫』は高校のときだったけど、当時『ゴールドフィンガー』で再ブレイク真っ只中だっただけに笑ってしまったw
他にもあったように思うが、私が記憶しているのはこの限りだ。で、授業の教材として映画を観せられて、結果、英語や国語の成績が上がったかというと、そうでもない(笑) いや、それは置いとくとしても、映画を観たことで作品のテーマやメッセージをどこまで理解できたかわからないのだ。映像化作品は、たいてい原作から外れて描かれる。実際、アニメ版メロスも、郷ひろみ舞姫もラストの描かれ方や設定が原作と違うところが多い。たぶん、原作だけではイメージが掴めない人のために、映画を見せることで、わかりやすく教えようとしたのかもしれない。実際、私は国語が苦手だったので、そのせいか文学には疎くなってしまった。だから、映画やアニメというわかりやすいものを好んでしまうのだ。
ただ、最近になって、10何年ぶりくらいか小説を読んだら、これが面白かった。読んだ作品がもともと面白かったからなんだろうけど、久しぶりに授業とか課題とかを抜きにして活字に触れたら、活字でなければできない表現があるということをようやく気づかされた。だから、原作小説の映像化といえども、それは原作そのものでない。見せるだけ無駄な気がするのだ。映画を教材として使うのなら、単に授業の単元と関わりがあるからではなく、もっと別のアプローチから観ていくほうが良いのでないだろうか。
そういや、最近『蟹工船』が再び映画化されたようだけど、予告編観る限りありゃどうなんだか。これが10年後か20年後かに授業で観せられたら、子供たちはどんな感想を抱くのやら?