ぬるオタな日々 by 少恒星

アラフォー独身のぬるオタの日々戯言。

映画監督、山田尚子を応援したい。~『映画 聲の形』感想~

2年前、『たまこラブストーリー』の公開時に、私はこんなことを書いた。

chusingura.hatenablog.jp

劇場アニメ、いや「映画」こそが山田尚子監督が一番力を発揮できる場所ではないか。
だったら、次は劇場オリジナル作品で勝負してもらいたい。そんなことを常々考えていた。

それから時が流れ、9月17日。
人気コミックの劇場アニメ化という形ではあるが、彼女にとっては、テレビアニメの劇場版ではない、初めての単体の映画監督作品が公開された。それが『映画 聲の形』だ。

 

koenokatachi-movie.com

 

もともと自分は『聲の形』の原作コミックを読んでおり、とても胸を締め付けられた。そしてこれを誰か劇場アニメ化してくれないだろうかと、あれやこれやと夢想していたのだが、まさか京都アニメーションで、それも山田尚子監督で映画化されるとは予想外だった。
しかし、これ以上のうってつけの人はいないと思ったのもまた事実。それだけにどれほど指折り数えてこの映画の公開を待っていたことか。

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前田有一の点数は当てになるのか?前田有一と映画ファンの評点を比較してみる

getnews.jp

漫画の実写映画化作品を低評価するたびにいつも話題になる前田有一の超映画批評。最近、彼の評価点をランキング形式でまとめたサイトまでできたようで。

maeda-y.kksg.net

正直言って私は前田有一の評価点など全く信用していない。だいたいお前ら、前田有一が他の映画にはどういう評価しているのか読んだことあるのか?
あるときはクソ映画にありえない高得点つけていたり、逆に面白い映画なのにありえないほどの低い点つけていたりと、彼の審美眼を疑う評価を何度も目にしている。アマルフィ』が『グラン・トリノ』とか『おくりびと』と同じ90点ってどういうことだよ!?

まあ映画評論家はそれぞれ彼らなりの評価基準というのがあるだろうし、単に自分がそれにそぐわないだけであれば諦めはつく。しかし「信頼のおける映画評論家」として彼が持てはやされるのも納得がいかないので、ここはひとつ前田有一の評価と、実際に映画を観た観客の評価がどれだけ近いのか見てみたいと思う。

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2015年を振り返って

自分にとっては怒涛の2015年が終わろうとしている。

 
最大の出来事は、何と言っても東京へ異動になったことだ。異動に至った経緯について詳細は伏せるが、関西には愛着があっただけに、この話を聞かされたときはショックのほうが大きかった。もちろんこれを断って転職するという選択肢もあったが、要領の悪い自分に上手く転職できるのかという不安もあって、結局異動を受け入れることに。そして、2015年7月から東京へ移り住んだ。
 
それからというものの、これも詳細は伏せるが、方針が変わったことや、その他社内でゴダゴダが重なったこともあって仕事環境が激変。これまでやってきたことが無意味になったと思うくらいに、いろんなことが変わり、自分の中で何かが崩れ始めた。
それに加えて、自分のコミュ障ぶりが災いしてミスを繰り返し、社会人としていかに自分がスキルが低いのかを思い知らされた。それを知ったときは、明日の自分すらも見えない暗澹たる気持ちになり、正直辛かった。そしてその不安は、今もなお引きずっている。
 
もちろんこっちに来て、楽しみも増えた。スワローズの日本シリーズ進出の瞬間に立ち会うことができたし、立川シネマシティの『マッドマックス』『ガルパン』の爆音上映に行くことができた。アニメイベントに参加する機会も増えた。映画館も充実している。趣味の面で言えば、こちらのほうが充実してきたのは確かだ。とはいうものの、関西にいる間もそれはそれなりに楽しんではいたし、ときどき関東勢をうらやましく思いつつも、東京へはたまに行く程度のほうが特別な感じがあって、それで良いと思っていた。それが関東に来て、楽しみもぐっと増えた反面、スペシャル感が若干薄れた気もしたし、選択肢が増えたために取捨選択がますます難しくなった。正直そこまで自分は求めてなかったんだけどなあという気もしている。
 
ともかく自分の2015年は、より多くのものを得た反面、より多くのものを求められ、あるいは失われた一年だったと思っている。
 
去年の年末では、相変わらずご立派(笑)なことを書いてはいたけど、今回の異動で、なんとなく考えていたことが頓挫してしまったので、来年は仕切り直してやっていきたいとは思うけど、他方で本当にそれは自分のやりたいことなのかと悩むこともあった。普段の自分を振り返って客観視してみると、「それ本気なの?」と自問自答することも多くて、自分の中ではまだまだ定まっていないんだろうなと思う。そんな自分が情けなくて悔しくて、またさらに悩むという繰り返しの日々。自分はこれからどこへ行きたいんだろうか…。
 
来年もまた、いろいろなことがありそうで自分もどうなるか正直わからない。そんな中でも、自分を見失わずに生きていきたいと思ってはいるけど、現在絶賛見失い中。

でも、これから日々の中で、自分の歩むべき道というか、せめてそのヒントとなるものを見つけられればと思っている。来年は精進の年になりそうです。

今年もこのブログやTwitterをご覧いただきましてありがとうございました。皆様良いお年のお迎えください。


 
 

『心が叫びたがってるんだ。』を支える背景美術(と、あのお城について)

あの花』スタッフの最新作『心が叫びたがってるんだ。』(以下『ここさけ』)を観た。

もともと『あの花』は好きな作品なのはもちろん、長井龍雪監督の最新作ということで非常に楽しみにしていた。監督・スタッフのインタビューや予告映像からして、アニメにしては地味な作品になるだろうということは容易に想像できた。でも地味なのは全然大歓迎だし、むしろ自分はそっちのほうが好み。なので、長井監督がそういう方向で勝負してくれたことには素直に嬉しかった。そんな自分の期待に見事に応えてくれたと思う。

【※以下『ここさけ』のネタバレを含みます。】

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原恵一監督はアニメ声優の演技が気持ち悪いだなんて言っていない

なにやら私の敬愛する原恵一監督の声優の演技に対する発言が、一部ニュースサイト・まとめサイトで取り上げられているようで。

エコーニュースR – 「アニメ声優の演技は気持ち悪いと言ったせいで、根に持たれている」・・『百日紅』、原恵一監督記者会見

芸能人声優の起用の是非とか、声優の演技がどうとかいう話は、これまで幾度となく繰り返されてきた話ではあるので、食傷気味な感がある。私の意見としては、出来上がった作品そのものが全てを物語ると思うので、誰を起用するかは作り手の自由だと思う。

しかしながら、一応原監督の応援ブログをやらせてもらっている身としては、この記事及びこれに対するネットユーザーの反応に承服しかねるところがあるので、自分なりに反論、というか正しい議論をしてもらうための材料をここで提示させていただきたいと思う。今回の記事は応援ブログのほうでやってもよかったけど、ブログの趣旨から外れそうな気がしたので、こっちで書かせてもらう。

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作り手との距離の縮まりを感じたAnimeJapan2015

先日の3月21日と22日の二日間、東京ビッグサイトで開催された「AnimeJapan2015」に行ってきた。昨年東京国際アニメフェア(TAF)アニメコンテンツエキスポ(ACE)が統合され、新たな日本最大級のアニメイベントとして生まれ変わってからは初めての参加だった。前身のTAF・ACEを含めれば、2年前のACE以来の参加だが、完全体としての総合アニメイベントとなると、TAF分裂前の2010年以来5年ぶりとなる。

www.anime-japan.jp

アニメジャパンwww.flickr.com

文化庁メディア芸術祭(作品展&『たまこラブストーリー』トーク付き上映)に行ってきた

神保町シアタードラえもん映画祭を観に行ったあと、すぐに向かったのは六本木の「第18回文化庁メディア芸術祭」へ。毎年受賞結果を楽しみにしているメディア芸術祭だが、作品展自体に来るのは2008年の第11回以来7年ぶり。確かそのときは『河童のクゥと夏休み』がアニメ部門の大賞を受賞して、原恵一監督らの受賞者トークを聞きに行ったなあ。


第18回文化庁メディア芸術祭

作品展は、各部門の受賞作品の上映や展示が、部門ごとに区切られて行われ、なかなか見応えのある内容になっていた。あいにくこのあとに『たまこラブストーリー』の上映会が控えていたため、展示をゆっくり見ることができなかったのだが、美術館などに行って作品を観るよりも気軽に、しかしアーティスティックな感覚を楽しめるのがメディア芸術祭の面白さなのだと思う。できることなら全国巡回してほしいところなのだが…。